今、高中正義が世界中で注目されている。数年前より世界各地のラジオDJやネットのインフルエンサーが日本のシティポップやJフュージョンをこぞって紹介したことにより、海外で20代の若者の間で人気に火がついたのだ。その中でも高中正義の人気は凄まじく、SpotifyやYouTubeの再生回数では驚異的な数字を叩き出している。初期のアルバムがアナログLPで次々と再発され、日本よりもアメリカで先行リリースされている状況なのだ。
そんな背景から今年の3月9日と10日、米国ロサンゼルスのウィルターン・シアターで2デイズの公演が実現し、集まった現地のファン5,000人(2日間共SOLD OUT)を熱狂させた。その模様を収録したBlu-ray「TAKANAKA SUPER LIVE 2025 BLACK SHIP in L.A.」が7月16日に発売されたばかり。
これを機に世界各地からコンサートのオファーが舞い込み、既に発表された9月から始まる15カ所での国内ツアーの延長として、まだ詳細は発表されていないが来年にかけてアメリカ数都市、イギリス、オーストラリア数都市、中国数都市をまわるワールドツアーも計画されている。題して〈高中正義 SUPER TAKANAKA WORLD LIVE 2025-2026〉。
今や名実ともに世界の人気ギタリストとなった高中正義に、LA公演の模様、世界における現在の人気について、また今年のツアーへの意気込みなど、思うところを語っていただいた。

「アメリカで売るには弱い」と言われた音楽が今、アメリカの若者にウケてる
――世界的に高中さんの人気が急騰していますが、どのような経緯でこうなったのでしょうか。
「世界的に、日本の70~80年代のシティポップと呼ばれている音楽が流行っている。シティポップとしては竹内まりや、杏里あたりが一番人気らしいんだけど、特徴としてはメロディが良くてバックの演奏にもしっかりグルーヴが感じられる音楽ということ。
Jフュージョンなら僕と同じくインストのカシオペアも人気がある。僕の初期のアルバムもその中に含まれているみたいで、何も宣伝していないのに50年近く昔のアルバムや曲が話題になっている(笑)」
――日本では50代から60代の音楽ファンが昔を懐かしむジャンルという印象ですが、海外のファンは20代の若者が中心なんですよね。
「そうなんだよ。日本のファンは僕と共に歳をとってきた人たちで平均的に60歳くらい。だからコンサートでも比較的おとなしい。
でも海外のファンは日本のファンより年齢として40歳くらい若いわけで、コンサートでも声が大きくて、とにかく元気。どっちがいいとは言えないけど40年の年齢の違いによる体力の差はハッキリしている(笑)」
――50年前に作った音楽が、今、海外の若者に人気があるとは、なんとも不思議な現象ですよね。
「僕の曲で人気があるのは圧倒的にキティ時代で、初期のベストアルバム『ALL OF ME』はYouTubeの再生回数が612万回を超えてる。
一番人気なのが1stアルバムの『SEYCHELLES』というのも面白い現象で、約50年前に当時アメリカでも発売できたらいいなと思ってアメリカの音楽関係者に聴いた感想を言ってもらったんだけど、〈アメリカで売るにはちょっと弱い〉なんて言われた。それが今になってアメリカの若者にウケてるんだから、不思議だよね。でも、今のこの状況はとても嬉しい」