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TM NETWORK『CAROL』みたいなノンストップアルバム

――Tnakaとしての活動が始まって約1年。Tnaka名義では初のアルバム『Tnaka IN THE HOUSE』がリリースされました。今作は全曲BPM 138、しかもノンストップミックスと、名刺代わりの作品でガチガチのコンセプトアルバム。いきなり相当な冒険作ですね。

「確かに! 私、自分でやるにしても見るにしても、1曲終わるごとに〈この曲は○○でした。次は○○です〉と説明を入れるライブより、〈どこまでが1曲だろう?〉と、DJのように曲と曲がシームレスに繋がっていくライブが好きで。それにTM NETWORKの『CAROL -A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991-』というアルバムが好きなんです。このアルバムは1曲目のアウトロが2曲目のイントロに重なるような作りになっていて、そこが最高なんですよ。

ノンストップミックスの作品を作れば、今までのライブ経験も活かせて私の好きなアルバムの形にも挑戦できるかも?ってなったんです。完成したとき、『CAROL』みたい!って思ってメチャ嬉しかった。……あ、そうだ。配信では各曲が単体に分かれているから、ぜひ盤で聴いてください」

――ただ、今作の収録曲はほぼシングルとして発表してきた作品。最初からノンストップでやる前提でBPMを揃えることを意識していたのですか?

「この中の一番古い曲は、『89/99』の初回購入特典として作った“GOKIGEN”と“ACID DEEP HEART DEAD”です。この2曲は、私の中で〈朝と夜〉をイメージした2つで1つみたいな曲なんですね。だから同じBPMなのかな?と最初は思っていました。

そうしたら〈いつか曲を繋げてできたら面白いかも〉と、フジタさん(作曲担当のフジタダイスケ)と松本さん(サウンドメイク担当のマツレイ!)が意識的にBPMを合わせて曲を作ってくださって。そこからずっとBPMが統一されていった感じです」

 

唯一無二のデトロイト歌謡

――かなり早くから下地が固まり、しかも自然にビジョンを共有していたのがスゴイ。そして今作の肝とも言うべきサウンドは、2022年4月ごろから標榜し始めた〈デトロイト歌謡〉という、全く聞いたことないジャンルです。

「元々テクノ、特に電気グルーヴが大好きで。marble≠marbleの初期は〈女版・電気グルーヴ〉をコンセプトにしていたくらい。

その頃は音も90年代J-POPへリスペクトを捧げつつテクノ色が強かったのですが、紆余曲折あってバンドから私のソロに形が変わり始めた辺りからポップ色が強めになっていて。特に『89/99』は〈90年代J-POP〉をテーマに、思い切りポップへ振り切った作品になったんです。

その反動で、〈今度は昔みたいにテクノに寄れば面白いかもね〉となって、テクノ色を強めることになったんです」

――原点回帰プラス、より濃い部分を抽出しようと。

「電気グルーヴはジャーマンテクノをお茶の間に広めた人たちだと思ってて、そこをリスペクトしつつ、フジタさんの〈同じことをデトロイトでやってみるのはどう?〉という話から〈デトロイト歌謡〉に辿りついたんです。あの~、デトロイトテクノで歌う人って……いませんよね?」

――ボーカル入りのデトロイトテクノはありますが、テクノポップを掲げて活動する人でデトロイトサウンドをバックに歌う人は見当たらないかも。

「ですよね! 他にない唯一無二のポップアイコンを目指すのに、デトロイト歌謡を歌っていくのはすごくいいなと思いました」