現代の視点から、コルトレーン・ジャズのスピリチュアリティを再検証
マンハッタンの北部、ワシントン・ハイツ出身のサックス・プレイヤー、レイクシア・ベンジャミン。彼女は、2000年代初頭にプロ・キャリアをスタートし、ストレート・アヘッド・ジャズから、ブラック・ミュージックを横断して、活躍してきた。そのキャリアの転機は、2020年に訪れる。この年、ベンジャミンは、ジョン&アリス・コルトレーン夫妻の音楽にフォーカスしたアルバム『Pursuance The Coltrane』を、リリース。スピード感あふれるアルト・サックスのプレイをそのままに、スピリチュアルな音世界へと表現を深めていった。
2021年の9月、レイクシア・ベンジャミンは、クリーヴランドでのギグを終え、車で自宅へ戻る途中に交通事故に遭う。顎や、肩甲骨、鎖骨を骨折するという重傷を負い、音楽家としての終焉も意識したベンジャミンだが、2週間後にはツアーに復帰する。そのステージで、コルトレーン夫妻からの力を感じるスピリチュアルな体験をした、そしてベンジャミンは、2023年『Phoenix』(不死鳥)を完成させる。
本作は、その続編で、ブルックリンのバンカー・スタジオで、スタジオ・ライヴとして録音された、現在のレイクシア・ベンジャミンの到達点のドキュメントである。タイトなアンサンブルを誇る、ザッカイ・カーティス(ピアノ)、イリアス・ベイリー(ベース)、EJ・ストリックランド(ドラムス)のレギュラー・グループに、タイトル・チューンには、大ヴェテランのジョン・スコフィールド(ギター)、ランディ・ブレッカー(トランペット)、ジェフ・“テイン”・ワッツが、ベンジャミンのスピリチュアルな音楽感に深みをもたらしている。激しいグルーヴの中を、ベンジャミンのサックスが、切り裂くように駆け抜ける。困難を克服したラキーシャ・ベンジャミンは、コンテンポラリー・ジャズの視点から、コルトレーン・ジャズのスピリチュアリティの再検証を果たしている。
LIVE INFORMATION
レイクシア・ベンジャミン来日公演
2024年10月16日(水)ブルーノート東京
[1st]開場/開演:17:00/18:00
[2nd]開場/開演:19:45/20:30
出演:レイクシア・ベンジャミン(アルト・サックス)/オスカー・ペレス(ピアノ)/エライアス・ベイリー(ベース)/E.J. ストリックランド(ドラムス)
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/lakecia-benjamin/