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“名前”はアンジェラ・アキとのボイスメッセージのやり取りから

――アンジェラ・アキさんが作詞作曲した“名前”も物語性のある楽曲ですよね。私も改めて自分の名前に特別感を抱きました。

「アンジェラさんとは昨年のミュージカル『この世界の片隅に』でご一緒したのがきっかけで、楽曲を作っていただけることになって。“名前”はメロディが本当にかっこよくて、最初に聴かせていただいたときから〈歌いたい!〉と思ったんです。

お互い海外と日本で離れていたこともあって、やり取りはボイスメッセージを使っていました。テキストだと硬くなってしまうところも、生の声だとよりリアルに思いを届けられるんですよね。私も自分の名前の由来や、これまでの人生で印象的だった出来事などを赤裸々に話して送らせていただきました。

※編集部注 アンジェラ・アキは現在アメリカを生活拠点にして活動中

そこから生まれた歌詞には、人は名前をもらって、生まれた瞬間から誰かに愛されているという普遍的で力強いメッセージが込められています。はじめて歌詞を読んだとき、〈この曲はまさに私の物語だ〉と感じましたし、メロディの強さにメッセージが重なって、感動が一気に込み上げてきました。

あまりに感激してしまって、〈海外にいらっしゃるのはわかってるけど、今電話してもいいですか!?〉って連絡して(笑)。すぐに感謝の気持ちをお伝えできたことが嬉しかったです」

――メッセージ性と物語性がどちらも込められている曲ですよね。

「〈時々人間をやめたくなる〉というフレーズがあるんですけど、そこまでストレートな表現はなかなか歌詞にしづらいと思うんです。アンジェラさんはそれを真正面から、しかもすごく自然に書いてくださっていて。

ボイスメッセージでいろいろとお話させていただいたんですけど、ここまで私の内面を理解してくれてるんだって、本当に驚きました。〈どうしてそんなに私のことわかるんですか?〉って思うくらい、的確な言葉が散りばめられていて。強い球をくらったような衝撃でしたね。

個人的に転調する部分が気に入ってるんですけど、制作途中でアンジェラさんが転調をやめようとしていたので、〈ぜひ残してください!〉とお願いしたんです。転調があることでこの曲の力強さがさらに広がるような雰囲気が出て、すごく気に入っています」