ギタリスト布袋寅泰の代名詞であり原点でもある〈GUITARHYTHM〉シリーズ。2025年4月、布袋はその8作目となる待望の新作『GUITARHYTHM VIII』をリリースし、〈HOTEI the LIVE 2025 “GUITARHYTHM VIII TOUR”〉をスタートさせた。ツアーは終盤に差し掛かっており、8月11日(月・祝)に日本武道館で開催される追加公演で幕を閉じる。そこで今回は、〈GUITARHYTHM〉シリーズ全8作のレビューをお届けしよう。 *Mikiki編集部


 

布袋寅泰 『GUITARHYTHM』 東芝EMI/イーストワールド(1988)

BOØWYの〈LAST GIGS〉開催から半年後にリリースされた、記念すべきファーストソロ作。海外進出を意識して全曲が英語詞という〈挑戦〉もさることながら、バンド時代とは一線を画したデジタルサウンド中心の〈大胆〉な楽曲作りが印象的だ。なかでも、エディ・コクランの代表曲をジグ・ジグ・スパトニック的アプローチでカバーした“C’MON EVERYBODY”の衝撃は、発表から30年以上が経った今でも薄れることはない。また、“GLORIOUS DAYS”“MATERIALS”“GUITARHYTHM”などシリーズを象徴する名曲が並ぶなか、眩しいばかりの輝きを放つダンスチューン“DANCING WITH THE MOONLIGHT”は、未来永劫身を委ねていたいと思わせるロマンティックな魅力に溢れている。

 

布袋寅泰 『GUITARHYTHM II』 東芝EMI/イーストワールド(1991)

前作リリース後、吉川晃司とのCOMPLEX結成&活動休止を経て、布袋が次に選択したのは〈時空を超えた魂の旅〉をコンセプトにした全24曲からなる大作への挑戦だった。刺激的なミクスチャーロックでアッパーに攻める“BEAT EMOTION”、離れ離れになった恋人との切ない思いを綴る優しいバラード“YOU”、深夜ひとりでギターに向き合ったインストナンバー“GUITAR LOVES YOU”、敬愛してやまないデヴィッド・ボウイの名曲カバー“STAR MAN”など、自身の表現の幅を溢れんばかりのアイデアが詰め込まれた楽曲群で証明してみせたシリーズ屈指の傑作。また、後に“POISON”“スリル”などの大ヒット曲を放つ作詞家、森雪之丞との初遭遇が実現、“SLOW MOTION”“MERRY-GO-ROUND”などで壮大な物語世界をともに描き出している。

 

布袋寅泰 『GUITARHYTHM III』 東芝EMI/イーストワールド(1992)

ジャケ写で布袋が着用する鋲打ちされた革ジャンが象徴するかのごとく、過去作よりもロックンロール系のナンバーが多い印象の3作目。ソロになってから数多くのステージをこなして経験値を積んだことも影響し、楽曲が持つライブ感は倍増しといったところか。疾走感溢れる“UPSIDE-DOWN”、クリス・スペディングとのギターバトルが火花を散らす“さよならアンディ・ウォーホール”、TB-303サウンドとグルーヴィーなベースラインでアシッドハウス色を強調しつつも、刺激的なギターサウンドを加えてスピード感を演出する“EMERGENCY”など、アッパーさにおいてはシリーズ上位に入る仕上がりだ。そして、布袋が「オレたちの曲」などと称する“LONELY★WILD”で感動的にファンとの絆を約束してみせる。なお、翌年にリリースされたライブ盤『GUITARHYTHM WILD』は同作の曲を中心に収録曲がセレクトされているが、ボーナストラックにはLP盤のみに収められていたザ・ルベッツのカバー“SUGAR BABY LOVE”が。洋楽好きは、思わずニヤリとしてしまう意外な選曲がたまらない。