蓮實重彦の新刊は、渋谷にある名画座・シネマヴェーラでの約20年間の期間に開催されたトークイヴェント20回分を収録した一冊。本書は、「ハリウッド映画史講義」、ジョン・フォード、ショット、紳士淑女との対話、活動屋との談義と5つの章に分かれて構成されている。「ハリウッド映画史講義」の章ではアルドリッチとB級映画について、ジョン・フォードの章では「香も高きケンタッキー」等について、ショットの章ではドン・シーゲル、ウォルシュらについて語られており、蓮實重彦ファンにとっては馴染みの内容で楽しめる。岡田茉莉子との対談、シネマヴェーラの支配人へのインタヴューが収録されており、蓮實重彦が素晴らしい聞き手である事を再認識できる。