カール・シュトラウベ(1873~1950)の名は、〈カール・リヒターの師〉としてようやく思い出される程度だろう。本書は、1918年に聖トーマス教会カントルに就任し、合唱団を率いてバッハのカンタータ全曲演奏を実践、さらにラジオ放送を通じてヨーロッパ各地に広めたシュトラウベが確立した演奏様式が、〈ライプツィヒのバッハ様式〉としていかに継承されてきたかを実証的に論じている。膨大な一次資料の精査に加え、録音のテンポ変化をソニック・ヴィジュアライザーで、発声やヴィブラートをスペクトログラムで客観的に比較・分析し、結論を導く手法は実にスリリング。バッハ受容史を語る上でも欠かせない一冊だ。