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悩んだ時期を経て、今の私たちらしい素直さを出せたアルバム

――なぜ〈素直に書けない時期〉が、あったのでしょうか。

あやき「いろんな人が関わってくれるようになると、今の自分たちがやりたいものと求められるものが違ってきちゃって。〈求められるものに全力で応えよう〉とした結果、素直に書けなくなってしまったんです。ずっといい曲は書けていたものの、やっぱり苦しかったというか」

花菜「単純に自分たちが年を重ねた影響もありましたね。10代の頃に聴いていた曲や書いていた曲と20歳を超えた自分が聴く楽曲に違いを感じていたからこそ、変わっていくべきなのか、変わらずにいるべきなのか、みたいなところで悩んだりもして。

1st EP『愛情日和』の楽曲は今でも好きなんですけど、あの頃は持っていた〈底なしの明るさ〉みたいなものが、生きていくなかでどんどん自分の感情から損なわれていってる感覚もあったんです。ちょっと大人になって書けなくなったものが恋しくて、〈また書きたいな〉と悩む時期もあったんですけど、今は素直な自分で曲を書けるようになったと思います」

あやき「いろいろな変化があり、〈やりたいことをやってみよう〉のフェーズに、また戻ってきました」

花菜「『MY GIRL』は、いろんなことを取っ払って〈自由に好きなことをやるぞ。好きな10曲を書くぞ〉の気持ちで行けた。それがすごく嬉しいし、楽しかったですね」

あやき「今回のアルバムは、より一層自分っていうものを、私たちっていうものを、そのまま出せたと思います。今はもう〈底なしの明るさ〉がレトロマイガール!!の〈らしさ〉ではないけど、〈今の私たちらしい素直さ〉で作れたんじゃないかな」

 

今までなかった、でもずっと鳴らしたかったサウンド

――話題にあがっていた『MY GIRL』についても、お伺いしていければと思います。今作はどのようなコンセプトなのでしょうか。

花菜「タイトルの『MY GIRL』は、〈レトロマイガール!!の1stアルバム『MY GIRL』、いいやん!〉みたいな感じで、がっつりバンド名から取りました。〈『MY GIRL』ってタイトルやから、女の子だけに届いてほしい〉とかは、もちろんなくて。

みんなの心をちょっとだけ楽にできたり、人生を切り開いたりして、彩れるアルバムになったらいいなと思って作りました。私たちのアルバム1枚目に相応しい、今のレトロマイガール!!を素直に表現できた作品だと思います」

――では、ひとり2曲ずつお気に入りの楽曲を教えてください。

花菜「このアルバムのなかで、作り上げたときも今も好きなのは“平熱みたい”って曲。今までのレトロマイガール!!にはなかった、エモーショナルなサウンドとゆったりしたミドルテンポが、すごく好きで気に入っています。

それこそ、悩んでいた時期に〈こういう楽曲は今のレトロマイガール!!には、いらないかもね〉みたいな感じで、捨てていたジャンルのひとつで。でも、私自身は普段からこういう楽曲を聴くことが多いし、ずっとやりたいと思っていたアプローチなんです。少し色気のある曲って、表現するのがちょっと難しいんですけど、素直に感情を乗せられました。もし映画の主題歌や挿入歌を任せてもらえるようになったら、“平熱みたい”のような楽曲で挑戦したいですね。

あとは、“風凪ドライブ”が個人的に、すごく好きです。歌詞の美しさというか。日本語やから出せる情景の良さは、たぶん一番表現できたなって思ってます。音楽的にはPUFFYやスピッツ、奥田民生さんなどのエッセンスを、意識して取り入れたりしました。ドライブソングなので、サクッと乗った車でさらっと流れている心地よいリズムと声がいいなと思って。節回しも他にない感じにしていますし、声の張りかたも聴いていてしんどくないように調整しています」

ひらおか「自分も“風凪ドライブ”が好きなんですよね。ずっと淡々としてるのに、メロディーや曲の感情とかもすごく良くて、聴いていて全然飽きない。

なおかつ、ドラマー的にも、楽しいんですよ。同じ雰囲気のビートだけど、自分にしかわからないくらいのささやかな変化をつけたりとか。そのままずっと進んでいって、最後にどかんっていくところもけっこう好きです。ずっと溜めていたものをガーって出せるのもいいなって」