
暗く苦しい裏の部分もリアルに描く方が〈綺麗〉
――昨年9月にリリースされたメジャーデビュー曲の“レイ”は、初期からのカラノアが奏で続けていた疾走感のあるサウンドも踏襲しつつ、よりアップデートされた曲だなと感じました。あの曲をメジャーデビュー曲にしたのは、何故だったんですか?
雄大「バンドの曲……というか、ギターロックを作りたかったんですよね。それで作った曲なんです。歌詞については、これはめちゃくちゃ僕のエゴなんですけど、昔飼っていた猫の曲を大事なタイミングでリリースしたいって、勝手に思っていて。〈チャンスはここしかないな〉と思って、この曲のテーマにしました」
――その「昔飼っていた猫」というのは、それだけ雄大さんの中で大事なモチーフだったんですね。
雄大「かなり大事でした。めっちゃ好きだったんです、その猫のことが。兄貴も音楽をやっていたので、昔その猫について曲を書いていたんですけど、僕も猫の歌を書きたいなと思っていて。メジャーデビューのタイミングで、めちゃくちゃエゴを出させてもらいました」
――そのモチーフと、“レイ”がギターロックサウンドであることは、何かしら関連性はあったと思いますか?
雄大「いや、明確な関連性はなかったんですけど、いい感じに寂しいコード進行ができたんですよね。そこから〈あの猫のことを歌いたいな〉と思って」
――そういう凄くパーソナルなテーマや、痛みや喪失感を感じさせるテーマって、インディーズ時代からずっと雄大さんの作家性として続いているものだと思うんです。メジャーデビュー以降も、それは損なわれていないですよね。雄大さんは、自分はどういうことを歌いたい人間なんだと思いますか?
雄大「歌詞を書くうえで大事にしていることは、〈明るいことだけじゃない〉ということですね。明るいことを書くとしても、その裏にある苦しい部分も同時に書きたいとは思っていて。そういうものの方が僕は美しいと思うんですよね。暗い部分もあった方が、よりリアルになるというか。そういうことはずっと考えていると思います。
僕は、綺麗すぎるものを見ると〈嘘つけ!〉と思っちゃうんですよね。〈そんなバカな!〉って。なので、裏側を描いた方が、逆にもっと綺麗に感じられる、というか……なんなんでしょうね、この感じは」
――その方が、〈嘘の綺麗〉じゃなくて、〈本当の綺麗〉になる、という感覚かもしれないですね。
雄大「そうですね、その方が人間っぽいというか。リアルなもの、生々しいもの、そういうものの方が綺麗に感じるんですよね」
――“レイ”を作れたことで雄大さんの中にどんな体感が残りましたか?
雄大「その猫の写真も持ってはいるんですけど、それとは別に、自分が生み出すものの中で一番得意な音楽で、その猫のことを残せたことが、なんというか……〈嬉しい〉ともなんか違うんだよな。〈よかった〉みたいな。安心なのかな。そういう感覚はありますね」

アニメタイアップの夢を叶え、地球の反対側まで届いた実感
――“レイ”のあとにリリースされたシングル“番”は、TVアニメ「ガチアクタ」の第2クールエンディング主題歌として書き下ろされた曲で、大きな広がりを見せましたよね。この曲でカラノアの名を知った人も多かったと思うんですけど、“番”が生み出した状況については、どんなことを感じられていましたか?
樹「海を越えたのがビックリしましたね。『ガチアクタ』は海外人気も凄くて、“番”のミュージックビデオのコメント欄も英語のコメントがいっぱいになったんですよ。今までそんなことはなかったから、嬉しかったなあ」
雄大「嬉しかったね」
かずき「“番”は、ミュージックビデオのスケール感も今までと全然違っていて。火が、触れるんじゃないか?っていうくらいの距離でドッカ―ンと燃え上がったり(笑)。あれは感動したね」
雄大「うん、感動した。僕、ちっちゃい頃からアニメのタイアップにずっと憧れていたんです。〈好きなアニメで、自分の作った曲が流れたら……〉みたいな妄想をずっとしていたので(笑)、それが現実になったことに、凄く感動したし、実際にテレビで観た時は震えました(笑)」
――子どもの頃、好きだったアニメの曲はありますか?
雄大「そうだな……『HUNTER×HUNTER』がめっちゃ好きなんです。『HUNTER×HUNTER』のアニメの曲は印象に残っていますね。ゆずさんの曲とか。今、自分が同じことをしているなんてヤバくない?って思います(笑)。完全に夢が叶ったなって」
――樹さんとかずきさんは、好きなアニメソングというと何が思い浮かびますか?
かずき「僕は、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のオープニングだった、YUIさんの“again”が好きですね。あと、NICO Touches the Wallsさんの“ホログラム”とか。『ハガレン』の曲が大好きですね」
かずき「僕は、ずっと印象に残っているのは、『遊☆戯☆王』の曲かな。『遊☆戯☆王5D’s』のエンディングだったvistlipさんの“-OZONE-”とか、めっちゃ好きでした」
――“番”が広がったことで、バンドに向き合う意識に変化がったりもしましたか?
雄大「〈音楽って、こんなに届くんだ!〉とは思いました。〈地球の反対側まで届くんだ!〉って。最初ウソかと思いましたもん。ドッキリかと思った(笑)」