「鍵盤の貴公子」の魅力を今度は映像で

 作曲家・中村匡宏とのデュオ〈鍵盤男子〉としても活躍中だが、ソロ・アルバム『Piano Love』シリーズ2枚でも好評を博してきた人気ピアニスト。この度、同シリーズの集大成とも云える映像商品をリリース。

大井健 Piano Love The Movie ~Music Documentary Film~ キング(2018)

 前半部分には新曲《Departure》の誕生などに迫るドキュメンタリーを収録。MoMAで購入したというジャクソン・ポロックの巨大なポスターが貼られた練習室で、真摯にピアノと向き合う姿がとても印象的だ。

 「殆ど秘密基地。部屋に籠もって、指ならしから始めて、コンサートでとりあげるクラシック曲からオリジナル曲まで、夢中で弾いていると3~4時間くらいはあっという間。新曲もほぼ、あそこで生まれました」

 加えてプライベートな一面を垣間見せるオフショットも充実。朝食風景から日課のサイクリングで外苑西通りを駆け抜ける場面、裏原宿のカフェでの読書タイムや、お気に入りの輸入楽譜店まで、ファン垂涎もの。

 「ディレクターに促されて自撮りまで(笑)。ちょっと恥ずかしいけれど、皆さんに喜んで頂けたら幸いです」

 カワイのハイブリッドデジタルピアノのプロモーションを兼ねたファン・イヴェントでの演奏シーンも必見。

 「リアルにチェンバロの音色を再現したり、好みの音を自在に作り出すことのできる凄いピアノ。コンサートホールだけでなく、いろんな場所で演奏して通りすがりの人の耳にも音楽を届けたいと思っている自分にとって、強い味方になってくれそうな新製品でした」

 後半では、東京都庭園美術館・新館にShigeru Kawaiグランドピアノを特別に持ち込んでライヴ収録した、スペシャル演奏の模様をたっぷりとお届け。

 「木々の緑に囲まれ、ガラスを通して自然光が降り注ぐ美しい空間で、客席もなくただ自分のためだけに演奏した夢のような時間。かすかに野鳥のさえずりも聞こえて、まるで森の中で弾いているみたいでしたね。出来上がった映像を自分でもチェックしたら、エンジニアの方が素晴らしい音響を作ってくれていて、カメラワークも神がかっていた。本当に自信作です!」

 2枚のアルバムからセレクトしたオリジナル曲から、ショパンのノクターン第20番《遺作》、ドビュッシー《月の光》など、どれも素晴らしいが、やはり演奏の締めを飾る《Departure》が圧巻だ。

 「これまでソロでは、主にロマンテイックで内省的な曲を意識して来たのですが、今後はアクティヴでよりパッションな面でも魅せたい。新曲はそんな新しい自分への“ 旅立ち” を予感させるものにしたかった」

 挟み込まれたインタヴューでの発言も興味深く、特に建設中の新国立競技場を臨む場所で最後に語られた言葉が胸を打つ。ピアノを愛する全ての人にお薦め。

 


LIVE INFOMATION

『Piano Love The Movie ~Music Documentary Film~』発売記念
ミニライヴ&2ショット撮影会&サイン会

○3/10(土) タワーレコード渋谷店 7F  15:00開演

大井健×鍵盤男子コンサート2018 The future of piano Love
○6/9(土)14:30開演 会場:高崎市文化会館
出演:大井健、鍵盤男子
チケット発売日:3/18(日)

www.takeshioi.com