実験音楽を代表する音楽家アルヴィン・ルシエの来日公演が、4月に京都と東京で開催されます。彼の実験音楽やサウンド・パフォーマンスといった唯一無二の作品群は新しい芸術として高く評価されてきました。

今回のプログラムは、9作品演奏され、うち7作品は日本初演。ルシエは2018年のツアーを最後の海外遠征としており、惜しくもこれが日本で最後のパフォーマンスとなります。

演奏演目
(各作品の演奏日は 開催概要 の詳細リンクをご覧ください。)

○I am Sitting in a Room (1969) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Alvin Lucier
(音声および電磁テープのための作品)
○Bird and Person Dyning (1975) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Alvin Lucier
( マイクロフォン、アンプ、スピーカー、電子音生成オブジェクトを備えた演奏家のための作品)
○Ricochet Lady (2016) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Trevor Saint 【日本初演】
(グロッケンシュピールの独奏のための作品)
○Braid (2012) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Ever Present Orchestra 【日本初演】
(エヴァー・プレゼント・オーケストラに適応したアルトフルート、クラリネット、イングリッシュ・ホーン、ストリング・カルテットのための作品)
○Two Circles (2012) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Ever Present Orchestra 【日本初演】
(エヴァー・プレゼント・オーケストラに適応したフルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、純波発振器のための作品)
○Semicircle (2017) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Ever Present Orchestra 【日本初演】
(4つのヴァイオリン、3つのエレキギター、ピアノ、4つのアルトサクソフォンのための作品)
○Criss Cross (2013) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Oren Ambarchi & Gary Schmalzl 【日本初演】
(2つのエレクトリックギターのための作品)
○Hanover (2015) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Ever Present Orchestra 【日本初演】
(エヴァー・プレゼント・オーケストラに適応したヴァイオリン、2つのサクソフォン、3つのバンジョー、ピアノ、弓矢のビブラフォンのための作品)
○Tilted Arc (2018) 作曲: Alvin Lucier 演奏: Ever Present Orchestra 【日本初演】
(トレヴァー・セイントが弾くグロッケンシュピールを含む、エヴァー・プレゼント・オーケストラのためにアルヴィン・ルシアが作曲した新作)

 

Alvin Lucier/アルヴィン・ルシエ
20世紀後半のアメリカ音楽の最たる代表者としてのアルヴィン・ルシエの先駆的研究は、通常は聞こえない音を可聴化する試みとして最も顕著とされるが、何よりも非常に特異な形で音を可視化したり、空間を有形化するその手法において特徴的である。1950年代を通じて彼の作曲法は欧州の古典的な技法を軸としたが、1965年に始まったライヴ・エレクトロニクスの時代から1982年に至るまで、ルシエの楽曲は全て言葉によって表されていた。これらの言葉は伝統的な意味における音楽的概念のコード化として理解されるのではなく、音の現象、もしくは音響的に生成される現象を明らかにする集中的な実験状況の設定として理解されるべきである。1970年代に始まったサイン波を使った作品群のさらなる発展を遂げ、1982年以降の古典的 楽器のための楽曲群は、かつての電子的に育成された音波と古典的な楽器の音波の干渉によって導き出される状況の研究を基礎とした作曲方法の延長線上にあるといえる。伝統的な演奏の技術、表記法、通常のコンサートといった場面への復帰、親しみ深い環境や楽器を使用することは、これらの楽曲が音楽の通念を大きく逸脱したルシエの根本的な美学を際立たせる作用を意図して作られていることを表している。ルシエの作曲に関して特に強調すべきは、「概念は物事のなかにしか存在しない」ということ、言い換えれば、それは空間そのものに内在する概念の解放性という、古典芸術のロマン主義や従来の音楽の概念を逸脱した眼差しであり、ルシエの実験的な楽曲群は、音という現象、そして知覚そのものを如何に知覚するかということについて絶えず言及している審美的な反射である。

Photo by Amanda Lucier

 


Alvin Lucier & Ever Present Orchestra Japan Tour

京都公演
4月1日 日曜日
ANTIBODIES presents ALVIN LUCIER & Ever Present Orchestra
時間:開場 16:30 / 開演 17:00
料金:一般前売 2500円 / 当日 3000円
ユース(25歳以下)・学生 (要学生証)前売 2000円 / 当日 2500円
高校生以下[前売・当日] 1000円
会場:京都大学 西部講堂 京都府京都市左京区吉田本町
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東京公演
4月3日 火曜日
DAY 1: ALVIN LUCIER, Ever Present Orchestra, Oren Ambarchi and Trevor Saint
時間: 開場 19:00 / 開演 19:30
料金:前売 3500円 / 25歳以下 2500円 (要身分証明証) / 当日 4000円(ドリンク別)
会場:SuperDeluxe 東京都港区西麻布 3-1-25 B1F
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4月4日 水曜日
DAY 2: ALVIN LUCIER, Ever Present Orchestra and Oren Ambarchi
時間: 開場 19:00 / 開演 19:30
料金:前売 3500円 / 25歳以下 2500円 (要身分証明証) / 当日 4000円(ドリンク別)
会場:SuperDeluxe 東京都港区西麻布 3-1-25 B1F
詳細はこちら