今週の火曜日にDOMMUNEとボイラールームで配信されたBORIS with MERZBOW、盛り上がってましたね(少なくとも自分のTwitterのタイムラインでは)。会社帰りの電車の中スマホで観たのですが、アンプの壁から放たれるノイズはデバイス越しにも圧巻でした。過去にサン O)))とBORISのセッションもライヴで目撃しましたが、甲乙付け難い轟音だったのではないでしょうか。

その翌日、渋谷ではなく新宿の地下のライヴハウス・nine spiecesにて、BORISとMERZBOWの爆音にも負けない極上のギター・ノイズを浴びてきました。

それを鳴らしていたのが、個人的にはギターの音作りにおいてはシェラックでのスティーヴ・アルビニに比肩するオリジナリティーを感じる最も大好きなギタリストのひとり、魚頭圭さんと、Crypt Cityの元ギタリストであるセブ・ロバーツさんのユニット、UOZEBです。そして、念願叶ってようやく見れたこの日のUOZEBのライヴが、僕にとっては最初で(ひとまずは)最後のものになりました。

本題からズレますが、ここで魚頭さんのことをざっくりと説明。初期のHi-STANDARDと近いシーンで活躍していたハードコア・パンク・バンドのSWIPEに始まり、nine days wonder、kulara、envyらと共に日本のポスト・ハードコア・シーンの黎明期を支えたTHERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT(もちろんスミスのあの曲から)、惜しくも近年に解散したZやAS MEIASといったシーンの最重要クラスのバンドを渡り歩き、今年にOSRUMを始動させたばかりの孤高のギタリスト。他の追随を許さないアンプへのこだわりが半端じゃなく、主に木管楽器のメーカーとして知られるセルマーのギター・アンプ(!)をメインに、基盤や配線や真空管にまでこだわってカスタムし、唯一無二のサウンドを鳴らしています。

UOZEBは、そんな魚頭さんの美学が詰まったギターの音、そして魚頭さんはじめこの界隈のミュージシャンに刺激やインスピレーションを与え続けたセブさんのサウンドを文字通り全身で体感できる即興(?)ユニット。なぜかというと、下の動画を見ていただけると分かるように、UOZEBのライヴはフロアを囲むようにアンプ類がセッティングされ、お客さんは自分の好きなスペースで観ていいという自由なスタイルを採っていたからです。これまでなかなかタイミングが合わず生UOZEBは未体験だったのですが、この日はどうしても観に行かなければいけない理由がありました。それは、セブさんがカナダに帰国してしまうから!

待望だったUOZEBのライヴは至福の一言でした。魚頭さん、セブさんはそれぞれ2台(?)のアンプを使っていて、バリっとワイルドなのに不思議と耳に痛くない極上の爆音を、スピーカー・キャビネットから15センチくらいの距離に耳を傾けこころゆくまで堪能してきました。さらにこの日がスペシャルだったのは、元gaji/thermoという伝説的なバンド/ユニットで活躍し、現在はレコーディング・スタジオ〈ツバメスタジオ〉にてセブさんの上司を務める君島結さんがギタリストとして参加、さらにさらに、セブさんと縁の深いCrypt Cityやskillkillsのメンバーもリズム隊&ヴォーカルで加わり、豪華すぎるセッションを繰り広げたのでした! 平日だったこともありお客さんはそれほど多くはなかったものの、あの場にいた人は歴史的瞬間に立ち会ったといっても過言ではないような。

なお、セブさんはカナダに行ってもツバメスタジオのエンジニアを続けるとのこと。だからさよならは言いません。またいつか、UOZEBやセブさんの鳴らす音を聴ける日が来ると信じて。