動画共有サイトを中心に活動する男性シンガー・りぶ。その4作目となるアルバム『Ribing fossil』のリリースを記念して、タワーレコードではフリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号〈別冊TOWER PLUS+〉を8ページの特大ヴォリュームで発行いたします。ここではその中面に掲載されたインタヴューと、楽曲提供アーティストからのメッセージを掲載! 別冊TOWER PLUS+は、タワーレコード全店にて9月18日(水)開店時より配布中です! ※タワーレコードオンラインは除きます。※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。※天候や交通事情により配布が遅れる場合がございます。

りぶ Ribing fossil flying DOG(2019)

【りぶインタヴュー】

――アルバムとしては実に4年半ぶりとなりますが、4年半という時間への実感はありますか?

「単純に4年歳を取るということで、良くも悪くも声帯や喉の感じも変わってきているとは思います。そこは人間なので変化は絶対あるかなって思っていて。あと前作、前々作とアルバムはビクタースタジオで同じエンジニアさんとやっていたんですけど、この4年半でそのエンジニアさんがプライベートスタジオを構えられて、今回はそこで録音させていただきました。そのなかで思ったのは、やっぱり4年半で自分だけじゃなくて周りの方々を含めた環境もこんなに変わるんだなって。その中で変わらずまた一緒に作品を作れたのはうれしかったですね」

――また、りぶさんが主戦場としているネット音楽シーンのトレンドも様変わりしましたよね。

「そうですね。今回のアルバムでカヴァーさせていただいた“ドラマツルギー”“ロキ”“シャルル”という3曲は、僕がアルバムを出していなかった2015年から現在までを彩ってきたボカロ曲というイメージがあって。そういう意味でいうと4年半経ってシーンも熟成して、僕自身もいろいろ変わってきたのかなって思いますね」

――そうしたボカロや歌ってみたのシーンは近年、J-Popやアニメといった外のシーンからも注目されるようにまたなったと思います。りぶさんもまた、アニメ主題歌となった“疾走”を歌ったように、そうした外のシーンとの向き合った結果が本作『Ribing fossil』なのかなと。

「今、言語化いただいて僕も腹落ちしたんですけど(笑)、たしかに今回のアルバムは“疾走”がベンチマークになっているというか。“疾走”に込めた〈一般の方にも抵抗なく受け取っていただけるようなキャッチーさ〉とか、〈反面そこに忍ばせたいボーカロイドや歌ってみたのニュアンス〉を意識していたなっていま振り返ると思います。そこを起点にそのあとの曲たちもついてきたのかなって思いますね」

――また本作はEveさんやみきとPさん、TOKOTOKO(西沢さんP)さんといったネットシーンのアーティストとともに、Q-MHzや清 竜人さんが楽曲を提供しているのもポイントになっていますよね。

「僕も高校の頃からアニメは好きで、田代智一さんや畑 亜貴さんが音楽で参加された〈涼宮ハルヒの憂鬱〉も観ていたし、あとUNISON SQUARE GARDENも当時ものすごく聴いていて。そんなQ-MHzの田淵(智也)さんや田代さんと顔を突き合わせて歌詞の感じやサウンドの感じをイメージして“カナリユラレテル”を作っていただいたのは、自分としてもうれしい経験というか、生きていてよかったなって思います(笑)。

清 竜人さんも、りぶとして2015年以前に生配信をやっていたときに、弾き語りでカバーさせていただいていたりとか。清さんもピアノバラードからビッグバンド系など作風のすごく幅広い方なので、どんな発注をしたらいいかアルバムでもいちばん悩んだかもしれないですね。でも、いざあげていただいた“Princess”を聴くと、〈これしかないよな〉って思うぐらいパワーのある曲になったなと思います」

――また意外だったのが、“はぐれうた”で小説家の三秋縋さんが作詞で参加されていますね。

「これはディレクターさんからのアイデアがきっかけでオファーさせて頂いたんですが、なんと三秋先生も僕のことを知ってくださっていて。三秋先生ご自身も初めての作詞だったんですけど、Aメロから美しいというか、小難しい言葉を使っているわけではないんですけど、文学的で、本当に素敵でした。作詞の三秋先生、作曲の堀江晶太さん、そして僕、実は3人とも同い年なので、その同世代の3人で1つの楽曲を作り上げることが出来てうれしかったです」

――そうしたさまざまなクリエイターと作ったアルバムは、最後にはご自身が作詞作曲された“fossil”で締め括ります。この曲に込めた想いは?

「アルバムのタイトルトラックを自分の作詞作曲でというのは前作でもやっていますが、前作の“singing”とは言っていることは一貫しつつも視点は正反対みたいなところがあって。“singing”は〈from 自分 to リスナー〉という構図で支えていただいたみなさんへの感謝という気持ちで、今回は〈from 自分 to 自分〉という宣言みたいな意味合いを持たせています。もちろんリスナーのみなさんに聴いていただいての自分があるという大前提は変わらないし、今もその気持ちに十分すぎるほど支えてもらっているよっていうのは伝えたくて、でもごめんね、自分ってマイペースだったり多少勝手にやっているところありますよね……っていう想いを、4年半という歳月をふまえて改めて考えさせられたのもあったので、書かせていただきました」

――ファンへの想いと現在の自分の立ち位置を宣言するアルバムとなった『Ribing fossil』ですが、来年の1月には本作を伴うワンマンライヴが開催されます。

「ライヴでみなさんにお会いできるのは5年ぶりになるんですよね。なので、そこでどんな顔して会えばいいのっていう(笑)、ちょっと照れちゃいますよね。楽しみでありつつ、どういう体験になるんだろうなって想像がつかない。もちろん、自分ができることは歌をお届けすることで、そこで5年ぶりに聴いたけどやっぱりいいな、なんならよりパワーアップしているなって思ってほしいそれだけなので、そこに向けての準備はしっかりやっていきたいと思います。ライヴって生だし、まさに〈今〉ってことじゃないですか。4年半化石としてやっていた自分がこうしてアルバムを出してライヴをやることで、リスナーさんにも僕の〈今〉を感じてもらえたらなって思います」