相変わらず多忙ながら、自身のソロ作は8年ぶり。裏声を用いた先行曲“Something Keeps Calling”はロブ・ベーコンのギターを含めてアイズレー風のミッド・スロウだったが、複数の問題提起を含む本作は、クリス・デイヴがドラムを叩く冒頭からケンドリック・ラマーがMCを挿むラストまで、現行ビート・ミュージックをオーガニックに奏でたような尖鋭さがある。ブルック・ドリューと共作したハウス/ブギーな“So Ready”やアーネスト・ターナーがピアノを弾いた“Glory To The Veins”はその好例。同時に、おじのイライジャ・ベイカーSrのゴスペル曲を収録し、アリ・シャヒード参加曲では説教師のように迫るなど、血縁~音楽仲間の絆と教会ルーツを見せる自伝的要素もあり、その奇才ぶりが多方向から照射されている。