今年3月に亡くなったギーレンの追悼盤として、初出である2種のマーラー6番が3枚組で突如リリースされた。1971年録音は曲の認知が拡がる前の時期とは言え、その頃既にあった競合盤とは比べ物にならないほどの熟知の上での解釈を思わせる安定感ある演奏。一方、2013年の最後のザルツブルク公演となった方は壮絶の一言。テンポは恐らく最も遅い部類でありながらも、異様なまでに凝縮されたように感じ、音楽的に圧迫・圧倒される。テンシュテットの晩年とは異なるテンションだが、この凄さはギーレンならでは。このテンポについていくオケにも称賛を送りたい。