ジョン・ケージの本を読む楽しみは、余白に散りばめられた小噺との出会いだった。代表作「サイレンス」にも家族にまつわるもの、禅にまつわるものなど様々な小噺があちらこちらにばら撒かれている。この本はタイトルが示す通り音楽学者の白石美雪が選んだケージの50の言葉が並び、そしてそれぞれの言葉についての著者の言葉が続く。ケージは、自説に固執することなくあっさり撤回することもあった矛盾をいきたカオスの人だった。たくさんの言葉を書き、またその言葉を読んだ人でもあった。しかしなぜ50だったのだろうか。彼が心酔した易に従い64の言葉を選ぶのも一興だと思うが、これ、あくまで個人の印象。