驚くべき名盤の登場! ひばり弦楽四重奏団は日本を代表する弦の名手が集まった2018年設立の新団体だが、その技術的練度、合奏の有機的融合、音色表現の多彩さ、芸術的香気は既に世界最高クラスである。1曲目のドビュッシーから気迫のこもった曲頭表現、豊かにブレンドしたハーモニー、多彩な表情を浮かべるメロディ、各声部が自在に浮き沈みしてゆくアンサンブルの妙に魅せられる。白眉は黄昏の薄明かりのような第3楽章で、その静謐さはアレクサンダー・ハリソンの絵画「海景」を思わせる。2曲目のラヴェルも情感と陰翳が揺らめき、この作曲家ならではの繊細さも併せ持った切ないばかりの名演だ。