2019年11月22日に70歳で死去したスティーヴン・クレオバリーのおそらく最後の録音となった〈マタイ〉。ウィルコックス、レッジャーという名匠たちの後を継ぎ、37年もの間、英国の名門、ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団を音楽監督として率いた彼は、同年4月にカレッジのチャペルで録音を行い、9月に引退した。彼の〈白鳥の歌〉となったこの〈マタイ〉再録音でエヴァンゲリストを務めるのは、ガーディナー再録盤やエガー盤でも美声を聴かせてきたギルクリスト。クレオバリーが少年たちと感興豊かに奏でる澄明な空間へ鮮やかな光彩を差し込ませる表現力は、ここでも格別の存在感を示す。
ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団(The Choir Of King’s College, Cambridge)『J.S.バッハ:マタイ受難曲』名匠スティーヴン・クレオベリーと響かせた〈白鳥の歌〉
STEPHEN CLEOBURY , CHOIR OF KING’S COLLEGE,CAMBRIDGE
『J.S.バッハ:マタイ受難曲』