1959年春、東京藝術大学の旧奏楽堂でのライブを、関係者がモノラル録音したオープンテープから初CD化したもの。音質は当時の水準程度だが、当時の日本人演奏のCDは極めて少なく、その演奏レヴェルの高さを今に伝える貴重な1枚だ。しかも舘野泉は23歳、浦川宜也は18歳という若さである! ショーソンの音楽自体、ロマンティックで官能的で情熱に溢れたものであるが、若い奏者たちは憧れの音楽世界に肉薄しようと熱気に満ちたアンサンブルを繰り広げている。それでいてテンポを走ったり、音色が荒れたりすることなく、作品の旋律美、深淵の闇、果てしない高揚といった多様な魅力を見事に表出して止まない。