(左から)ドン・タカシ、コダマアツシ、こだまたいち
 

THE TOKYO。本気とも冗談ともつかないバンド名と3人のルックスを見て、最初は取材の依頼先が間違ってるんじゃないかと思った。しかし、ファースト・フル・アルバム『J.U.M.P.』の1曲目“ROCK ROCK ROCK”が一気に駆け抜け、続いて“恋(エレジー)”が流れてきて、最初に感じた〈?〉は〈!〉に変わった。ロックンロールやガレージ・パンク的なストレートさはあるけど、歌は妙に男臭くて色っぽくて昭和な感じだし、熱気とユーモアが軽いフットワークで一緒にステップしてる。人間くさいけど、古くさくない。曲もいい! 

6曲目の“気ままにグッドラック”が始まるころには、彼らの歌詞カードやバイオグラフィーを何度も読み返している自分がいた。中心メンバーのコダマアツシとこだまたいちは実の兄弟で、弟のたいちはモデルや俳優としても活動しているとか、THE NEATBEATS、ザ50回転ズ、THE BOHEMIANS、怒髪天など共演した先輩バンドを魅了してきたとか。なるほどなるほど。

そして、最後の“雨街BLUES”を聴き終えるころには、いろいろな憧れや情熱がごちゃ混ぜになりながらハートの中心をとらえる〈ザ・トーキョー・サウンド〉のダサかっこよさのとりこになってしまった。

約10年に及ぶ長い活動を経てようやくファースト・アルバムとしてリリースされる『J.U.M.P.』は、彼らの集大成にして、3人編成で新たなスタートを切る出発点でもある作品だ。過去に音源として発表してきた曲の再録、ライブでの人気曲の初音源化、そしてこのアルバムのために書き下ろされた新曲“恋(エレジー)”を含めた13曲。純度の高いこの作品を聴けば、きっと彼らのことを知りたくなるはず! というわけで、メンバー3人にロング・インタビューを敢行した。