沢田研二が9年ぶりに出演する舞台「ガウディ×ガウディ」が2026年3月14日(土)から東京と大阪で上演される。スペインの偉大な建築家・ガウディの物語を、劇作家・マキノノゾミがロック音楽劇として書き下ろしたもので、ジュリーと渡辺大知(黒猫CHELSEA)がW主演を務める。そんな話題作の開幕を前に、俳優としても時代を鮮やかに照らしてきたジュリーの演技の魅力を、デビュー初期から近年までの映像作品を通して振り返る。 *Mikiki編集部

1968年に公開された、記念すべきザ・タイガース主演映画第1弾「ザ・タイガース 世界はボクらを待っている」。前年に封切られた「ドリフターズですよ!前進前進また前進」でグループの一員として銀幕デビューを果たしてはいるものの、演技はなく演奏シーンをメインとした〈ゲスト出演〉だったこともあり、同作が本格的なジュリーの映画デビュー作だろう。そして、なべおさみ、小松政夫、小沢昭一ら〈THE昭和芸能〉な共演者たちに交じって、まだまだ慣れない演技に挑戦するジュリーの姿は新鮮そのもの。物語終盤、“シーサイド・バウンド”のライブシーンにて、ジュリーが「映画館でご覧の皆さんも、ご一緒にお願いします」とカメラ目線で観客に向かって声援を呼びかける場面は、黒澤明監督が初期作「素晴らしき日曜日」で試みた〈第四の壁〉を壊していく演出にも通じる、映画的快楽を呼び起こさせる名シーンだ。 *スミダマ

1月末にこの世を去った伝説の映画監督、長谷川和彦による日本映画史に燦然と輝く大傑作「太陽を盗んだ男」。本作でジュリーが演じたのは、自力で原子力爆弾を作り上げて日本政府を脅迫する中学校の理科教師・城戸だ。原子力発電所から盗み出したプルトニウムをアパートの自室に持ち込み、「鉄腕アトム」のテーマ曲を口ずさみながら原爆の製作に注力していく場面、部品は金物屋で調達したものを使っていたり、キッチンのオーブンを使って加工したプルトニウムを熱したりと、日常生活のすぐそばで原爆が作り上げられていく展開は今観ても強烈だ。悪戦苦闘を経て原爆を完成させ、ラジオから流れるボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの“Get Up, Stand Up”をバックに喜びの舞を披露する城戸を解放的に演じてみせるジュリーの姿は、本作の白眉だろう。その後、自身が被ばくしたことを認識するシーンや、菅原文太演じる山下警部と繰り広げる死闘の場面など、忘れえぬ熱演が次々と登場。ジュリーの役者人生における最高傑作のひとつであることは間違いない。 *スミダマ

ジュリーが生首で登場するオープニングから薄気味悪さに満ちている。描かれているのは、島原の乱で惨殺されるも幕府への復讐を誓い、悪魔に魂を売って甦った天草四郎率いる〈魔界衆〉が、隻眼の剣豪・柳生十兵衛と繰り広げる壮絶な戦いの物語だ。原作は、山田風太郎が生んだ天下の奇書。名匠・深作欣二が四郎役に沢田研二、十兵衛役に千葉真一を起用し、強烈なエネルギーでもって情念や官能、暴力が渦巻く空前絶後の傑作オカルトSF時代劇へと結晶させた。〈エロイムエッサイム〉と呪文を唱えるジュリーの美しさと妖しさを纏った鮮烈な佇まい、荒唐無稽なキャラクターに生々しい息吹を与えるその演技は、阿久悠の歌の世界に身を投じる時と同質の色気を放っている。また、火傷しそうなほど血走った千葉真一、ジュリーと接吻する当時20歳の真田広之、醜怪さがトラウマ級の緒形拳、室田日出男、若山富三郎らによる殺陣は圧巻だ。CGではなく実際にセットに火を放って撮影されたクライマックスの江戸城大炎上シーンまで、息つく暇はない。 *鯖江夏生

シリーズ恒例、オープニングの寅次郎が旅先で見る夢シーンにジュリーは自身のナンバー“SCANDAL!!”を歌いながら華麗に登場する。テレビ番組でよく観る〈色男〉っぷり全開なジュリーだが、それはあくまでも夢の中。本編で彼が演じるのは、顔は二枚目だが恋愛は苦手なチンパンジーの飼育員、三郎だ。亡くなった母の生まれ故郷である大分の温泉宿で出会った螢子に一目惚れした三郎と、恋の指南役を買って出た寅さん。渥美清と沢田研二という昭和を代表する二大スターの共演は、「男はつらいよ」記念すべき30作目に相応しい豪華な並びだ。肉親を失った三郎が、寅さんをはじめとするとらやの面々と楽しく食卓を囲んだことで徐々に笑顔を取り戻していく姿には静かな感動を覚えるだろう。そして、螢子を演じた田中裕子とジュリーは本作での出会いがきっかけで、のちに結婚へ至ったという、ジュリーの人生においても重要な作品となった。 *スミダマ

三島由紀夫生誕100年だった昨年、東京国際映画祭の特集上映にて遂に日本公開が実現した1985年作「MISHIMA」。「タクシードライバー」「ローリング・サンダー」「ハードコアの夜」などで知られるアメリカの映画作家ポール・シュレイダーがメガホンを取り、「太陽を盗んだ男」を手掛けた兄のレナード・シュレイダーとともに脚本を担当し、劇中では日本人の俳優たちが日本語で演技を披露している日米合作映画だ。三島の生涯を描いた物語と三島の小説を題材にした劇中劇によって構成された本作にて、ジュリーは第2部〈鏡子の家〉に出演。ボディビルによって肉体美を手にし、マゾヒスティックな愛に溺れていく主人公の収を演じており、その耽美的な世界観を体現するジュリーの妖艶な眼差しは国境を越える魅力を放っている。ちなみに、石岡瑛子によるアバンギャルドな美術の数々も高い評価を獲得しており、すべてがピンク一色に彩られた屋台でジュリー、倉田保昭、横尾忠則が並んでラーメンをすする場面は、そのカオスな座組みも込みでインパクト大だ。 *スミダマ

「鉄男」が国際的に高く評価された塚本晋也が、初の商業映画として手掛けた「ヒルコ/妖怪ハンター」。諸星大二郎の漫画を原作に、〈ヒルコ〉と呼ばれる謎の妖怪を退治するべく、ジュリー演じる考古学者・稗田礼二郎が中学生の少年とともに奮闘する、ひと夏の冒険を描いたSFホラー作品だ。どことなく石坂浩二版・金田一耕助を思わせる垢ぬけない雰囲気や、凶暴なヒルコを前に絶叫し、逃げ回り、殺虫剤を片手にドタバタと戦うジュリーの姿に、大スターの面影はない。色気を消し去り、43歳という実年齢相応の哀愁を漂わせながら、〈普通の中年男性〉に徹したジュリーの三枚目ぶりが新鮮だ。また、竹中直人と室田日出男の怪演、当時の特撮の総力を結集した容赦のない血みどろシーンの数々も大きな見どころだが、「学校の怪談」にも通じるジュブナイル的ノスタルジーが残す爽やかな余韻も忘れ難い。 *鯖江夏生

「ヒルコ/妖怪ハンター」と同じ1991年5月、ジュリーのもう一つの主演映画が公開された。美人画で一世を風靡した竹久夢二の奔放な愛の漂泊を描いた本作だ。「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」に次ぐ、鈴木清順の〈大正浪漫三部作〉の最終作であり、ジュリーにとっては「カポネ大いに泣く」に続く清順作品への登板となった。〈清順美学〉が炸裂した独創的な映像美のなか、ジュリーが眼差し、横顔、身のこなしの端々に滲ませる妖艶さ。芸術家として苦悩しながらも、無邪気に、軽薄に、刹那に生きる夢二のふわりと弾むような佇まいを体現するジュリーに思わず見惚れてしまう。ちなみに、物語の舞台となる金沢で起きる殺人事件の犯人を、ジュリーの代表作「太陽を盗んだ男」を監督した〈ゴジ〉こと長谷川和彦が演じている。俳優デビュー作にして生前唯一の映画出演となったが、言われなければプロの俳優と見まがうほどの野性味溢れる渋い風貌で絶大なインパクトを残している。ぜひ鑑賞されたし。 *鯖江夏生

ジュリーの主演作ではないが、この映画に役者として自己ベストを更新する名演を焼きつけた。「東京夜曲」の市川準が監督、のちに「ジョゼと虎と魚たち」を撮る犬童一心が脚本を担った本作は、売れない夫婦漫才師と中学2年生の娘が大阪の街で生きる姿を描いたものだ。朝ドラ「ばけばけ」ではヒロインの母親役を好演している池脇千鶴が主人公の少女・若菜役で映画デビューを果たし、その両親役で、「カポネ大いに泣く」以来14年ぶりにジュリーと田中裕子の共演が実現している。コンビ〈はる美&りゅう介〉として息の合った夫婦漫才で観客を沸かせる一方、愛人に子どもができ、離婚した上にある日突然りゅう介は家を出てしまう。娘から「カス」とまで言われるダメな父ちゃん・りゅう介の焦燥や慚愧が入り混じった哀感を、所帯じみた枯れた姿に浮かべるジュリーがたまらなく人間臭く、やるせなさが溢れ出る。また、どつき合いながらも離れられない妻役・田中裕子と、そんな両親に翻弄されながらも逞しく成長していく娘役・池脇千鶴の台詞より雄弁な表情に深く胸を打たれる名作だ。 *鯖江夏生

バイオレンスとアクションの鬼才・三池崇史が2002年、韓国の大ヒット作「クワイエット・ファミリー」をリメイクし、ミュージカルを織り交ぜた異色のホラーコメディーを完成させた。それが、ジュリー主演の「カタクリ家の幸福」だ。人里離れた田舎でペンションをオープンさせた片栗家の6人に次々と降りかかる災難を描いたもので、警察沙汰になり経営に支障が出るのを恐れ、さほど躊躇なく死んだ客を山に埋める一家の長・片栗正男を演じるジュリーが最高だ。志村けんとのコントに通じる卓越した笑いのセンスは、妻役の松坂慶子をはじめ、西田尚美、武田真治、丹波哲郎など芸達者な面々とともに常識やモラルを吹き飛ばし、暴走しながら歌い踊るシーンでも遺憾なく発揮されている。オフビートなキャラクター揃いだが、忌野清志郎が演じた自称イギリス国王の血を引くアメリカ軍人ことリチャード佐川が白眉だろう。 *鯖江夏生

山田洋次監督による松竹映画100周年記念作品「キネマの神様」。当初は志村けんが菅田将暉とともにダブル主演を務める予定だったが、志村が新型コロナウイルスに感染した影響で降板、その代役はテレビやラジオで志村と何度も共演してきた盟友のジュリーが務めることに。山田組への参加は「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」以来38年ぶりということで、一体どんな演技を見せてくれるのか注目を集めたが、博打と酒、そして写真(=映画)をこよなく愛した主人公ゴウの可笑しみと哀愁を、年輪を刻んだ今だからこそできる趣深い芝居で表現してみせたジュリー。そして、すべての所作に志村の〈魂〉が乗り移ったとも思える演技でやり遂げたジュリーの〈覚悟〉には深く感銘を受けるほかない。まさしく彼にしかできない〈名演中の名演〉と言っても過言ではないだろう。 *スミダマ
INFORMATION
ロック音楽劇「ガウディ×ガウディ」
出演:沢田研二/渡辺大知/中村中/野田晋市/若杉宏二/有馬自由/すわ親治/森下じんせい/細見大輔/内田紳一郎/串田和美
演奏バンド:白井良明(ギター)/松江潤(ギター)/オータコージ(ドラムス)/雲丹亀卓人(Ba) ※3月15日(日)、3月18日(水)を除く/小林俊太郎(キーボード) ※3月20日(金)~22日(日)、4月4日(土)~7日(火)を除く/玉木正太郎(ベース) ※3月15日(日)、3月18日(水)のみ出演/丸山隼矢(キーボード) ※3月20日(金)~22日(日)、4月4日(土)~7日(火)のみ出演
■東京公演
2026年3月14日(土)〜2026年3月29日(日)東京・六本木 EX THEATER ROPPONGI
■大阪公演
2026年4月3日(金)〜2026年4月7日(火)大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
■チケット料金
S席:12,000円
A席:9,000円
(税込・全席指定)
■チケット取り扱い
【東京公演】
追加公演先着先行受付:2026年2月21日(土)10:00〜2026年3月1日(日)23:59
※S席のみ
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/gaudi/
ローソンチケット:https://l-tike.com/gaudi/
イープラス:https://eplus.jp/gaudi/
テレ朝チケット:https://ticket.tv-asahi.co.jp/ex/project/gaudi
一般発売:2026年1月31日(土)10:00 〜
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/gaudi/
セブン-イレブン店頭 Pコード:東京 538-059/大阪 538-221
※以下は東京公演のみの取扱い
ローソンチケット:https://l-tike.com/gaudi/
ローソン・ミニストップ店頭Loppi Lコード:東京 35471
CNプレイガイド:https://www.cnplayguide.com/gaudi//ファミリーマート店内マルチコピー機
電話予約:0570-08-9999
イープラス:https://eplus.jp/gaudi//ファミリーマート店内マルチコピー機
テレ朝チケット:https://ticket.tv-asahi.co.jp/ex/project/gaudi
■お問い合わせ
【東京公演】
サンライズプロモーション
0570-00-3337(平日12:00〜15:00)
https://sunrisetokyo.com/
【大阪公演】
ページ・ワン
06-6362-8122(火木11:00-16:00)
https://page-one.jp.org/