鉄道ファン垂涎の名盤「世界の蒸気機関車」が装いも新たに復刻!!

石田善之 『世界の蒸気機関車 [XRCD]』 Global Culture Agency(2021)

 日本国内はもとより、台湾、アメリカ、スイス、イギリス、インドといった世界各地のSLの音を収録。2010年のリリース時に多くの鉄道ファンが歓喜し、大セールスを記録した名盤『世界の蒸気機関車』を覚えておいでだろうか。フジテレビ『とくダネ!』の司会者で、オーディオ・マニアとして知られる小倉智昭氏も番組で絶賛したこの2枚組は、早々に完売して廃盤となり、入手できない状況が長らく続いていた。だが、この度、11年の時を経てリマスタリング盤が制作され、3つの追加トラックも加えた新たな装いで還ってきた!

 録音を手がけたのは、岩波映画社にて数々のドキュメントや音楽の録音を手がけ、評論家としても長年に渡り健筆を揮う石田善之氏。

 最も古い素材は今回新たに追加された1975年の北海道のSLで、録音にはアナログオープン型のNAGRAを使用。また、スイスとイギリスのSLはテクニクスのポータブル型RS-686Dを用いたカセット録音を採用。それらをCDスタート直後の83年に非売品のデモ音源としてまとめた後、90年のインド、04年のモンゴルと、DAT録音(ソニーのTCD-D10Proを使用)による素材も加えた全47トラック。それらをさらに、原盤に忠実な芯のある力強い音で再生できるXRCDとしてリマスターしたのが当盤という次第だ。

 「超低域から超高域までの広い周波数を収め、通過音であれば左から右へ移動する様子や遠近感も楽しめる」とは、大のSLファンである石田氏の言葉。各録音に並々ならぬこだわりと愛が込められており、周りの鳥や虫などの声まで聞こえてくる鮮やかな音質は、聴き手の脳裏に、迫力に満ちたSLが駆け抜ける高画質の映像を浮かばせてくれる。

 ……といった事々の詳細は、録音の日時や機材なども記された、石田氏自身の執筆による16ページのライナーノートをご覧になりながら、実際の音を存分に楽しみ、酔いしれていただきたい!!