オリジナル・メンバーが塩入冬湖(ヴォーカル/ギター)ひとりという、新体制になってから初めてのフル・アルバム『FLASH』。歌い出しから〈さよならさ つまらない人〉とバッサリと告げる“ラヴソング”は、キャッチーでありながら歌詞は痛快なほどにシニカル。〈愛〉の方向が、相手よりもそれぞれ自分に向いていたせいで、一緒にいることがつまらなくなった、という視点は、相手だけでなく自分自身にも呆れているかのよう。一般的な〈ラヴソング〉の意味とは相反するが、れっきとした自己への〈ラヴソング〉だ。
“Stranger”は曲の後半からよりエモーショナルに歌い上げ、ミディアム・ナンバーの“ナイトハイ”は、いままでになくストレートな言葉に優しさと温もりを感じる。ヒップホップ要素を含んだサウンドの “ランデヴー”と、無線機を通したような声とノイズが印象的な重厚感のある“Balk”では新たな一面も。ヴァラエティに富んだ曲の数々に、FINLANDSの〈ひらめき〉がきらめく傑作だ。