年を重ねるごとに〈美しい〉を更新している印象のある、小西真奈美。役者としてCMやドラマ、舞台と幅広く活躍を続ける一方、自身の生活に紐づいた音楽にも全力投球だ。その本気さは、2020年にリリースされた『Cure』を聴けば一目瞭然。プロデューサーごとにクルクルと変わるイメージ、既存のシンガーでは珍しいブレスや息遣い、そして何よりも音楽へ対する愛の深さ。軽々しく使いたくない言葉だが、まさしく彼女は唯一無二である。
そんな小西が、5月28日に2021年第一弾となるシングルをリリースした。曲名は“Dear my friend”。自身の経験をもとに書き下ろされたバラード・ナンバーとなっており、アコースティック・ギターやピアノと共に響く歌声は、新たな彼女の可能性を予感させる。
今回のインタビューでは、前作の『Cure』や初となるワンマン・ライブ〈“Cure” Online Live at Blue Note Tokyo〉の話題を皮切りに、“Dear my friend”や最近の宅録環境など幅広く語ってもらった。
私の音楽を〈心〉で捉えてくれた
――昨年リリースされた『Cure』の手ごたえは、いかがでしたか。
「私の音楽を〈情報〉じゃなく〈心〉で捉えてくださる方が、すごく増えたような印象があります。いろんな方にお会いするたび、みなさんアルバムについてすごく丁寧に語ってくださるんですよ。〈聴いた、よかった〉で終わらず、歌や歌詞について感じたことを伝えてくださったり」
――以前は〈情報〉として捉えられていた感覚があったんですね。
「『Here We Go』(2018年)をリリースしたときは、〈作詞作曲をしてるの?〉や〈どうやって作るの?〉と、〈聴く〉の前に疑問をいただくことが多くて。ずっと女優として知っていた人が、急に歌を歌いだしたみたいな感じだったので、当然といえば当然なんですけど(笑)。
今回は1回リリースしているというのを踏まえて、みなさんが受け止めてくださった。〈ただなんとなく片手間に歌を作ったのではなくて、これからも歌と向き合っていくんだな〉と、感じてくださった方が多かったようで嬉しかったです」
――ブログには、小学生の女の子に〈君とは、もう逢えないの?〉と訊かれたと書いてありましたよね。
「そうなんです! 知り合いのお子さんなのですが、大人が会話してるときにわーっと寄ってきて、いきなりその質問をしてくれたんですよ。すごく訊きたいと思うくらい感じてくれたことが、本当に嬉しくて。〈もう逢えないけど、全部のことに感謝して前向きに生きていくと、いいことがあるかもしれないよね〉って答えたら、〈そうなんだ! よかった、ありがとう〉って。それだけで〈曲を作ってよかった!〉と本気で思いました」