現代音楽にはどうしても〈相性の良さ〉がつきまとう。シャリーノなどのイタリア系は特にその気が強い。合わない人が演奏すると音が間伸びしたり、唯の音の羅列に成り下がったりと良い所が打ち消されてしまう。そういう点で若林さんの音は天職と言ってもよいほどの相性の良さを聴かせてくれる。音に隙がないのだ。そしてフルート一本とはとても思えない音色の豊かさ! 付随するタイナカジュンペイの写真は黒を貴重としたモノクロな縦の世界。それにシャリーノ × 若林の横の世界が交わる事で、徐に世界が色づき始める。現代音楽ならではの複数ジャンルが交差した実に面白い作品だ。