タンケードは架空のビーチ……裸の男たちは何を思いながらこのビーチで過ごしているのだろうか。前衛チェロ奏者、ギャスパー・クラウスが日本のインプロヴァイザーを招き発表した諸星大二郎によるアートワークも衝撃だった『序破急』から8年、今作は真のソロデビューといえる作品。すべて彼一人の自作自演でチェロという楽器が放つ音の奥深さをこれでもかと知らしめる。砂の上で踊る友人たち、そのステップはミニマルなピチカートによって刻まれて、寄せては返す波もチェロのレイヤーでどこか物悲しい。彼が想いを馳せるビーチは薄曇り、記憶の彼方で物悲しいシーンとして映し出されている。