ポスト・パンク名作の40周年記念盤が再臨!!

 スチュアート(ギター)とフィリップ(ベース)のモックスハム兄弟にアリソン・スタットン(ヴォーカル)を加えたウェールズはカーディフ出身の3人組、ヤング・マーブル・ジャイアンツ(以下YMG)。活動期間は3年ほどにもかかわらずカート・コバーンやソニック・ユース、ベル&セバスチャンら後進に多大な影響を与えたことで知られるポスト・パンク期のバンドで、80年に残した唯一のアルバム『Colossal Youth』は〈ミニマル・ポップの金字塔〉としてたびたび取り上げられることも多い。そんななか昨年に限定生産されるも即完した同作の40周年記念盤が、このたび日本盤の2枚組CDとして再登場した。

 5日間で録音されたという『Colossal Youth』は、ギターとベースにリズムボックスを用いたチープでミニマルなサウンドとアリソンの無欲な歌声が独特のクールな空気感を醸し出し、後にも先にもないYMGならではの音像を創出している。何とも形容し難いストレンジな風合いは同時代のアクトよりも90年代のローファイや近年のインディー・ポップに通じる部分が多く、そのぶんタイムレスな作品とも言えよう。さらに『Loose Ends And Sharp Cuts』と題されたDisc-2には、アルバム前後に発表したEPなどの音源が網羅(人間味に溢れた本人たちのインタヴューを含む解説も実におもしろい)。YMGを知らなかったリスナーも、この機会に一網打尽で触れてみるのはアリだ。