アラバマ州バーミングハムの8人組による4枚目のアルバムは、ツアー中のホームシックを題材にしたコンセプト・アルバムだ。長いツアーの間に感じる孤独と不安を、未開の地を訪れた入植者、あるいは宇宙空間を一人で漂う宇宙飛行士の心情として表現しているようだ。全10曲中唯一アップテンポのディスコ・ナンバーのタイトルが“The Last Dance”というところが実に暗示的。60年代風のサザン・ソウルから作品を重ねるごとにストリングスも使いながらメロウに変化してきたサウンドは、ここではサイファイなんて言葉も浮かぶものに。ラストを飾る美しいバラードは彼らの真骨頂と言えるが、前述の曲以外はメランコリックなスロウ・ナンバーばかりというところにバンドの野心を聴き取るべきだろう。