冒頭からヴォイス・パーカッションとピアノのエキサイティングな掛け合いが印象的なタイトル曲で幕を開ける。ブラジルの女性ジャズ音楽家タニア・マリアの楽曲であるが、この曲が持つインパクトは抜群。サンパウロのジャズ・ピアニストと女性シンガーのデュオによる本作は、二人の〈声〉と〈ピアノ〉だけのシンプルな構成ながらその圧倒的な表現力とダイナミズムで聴き手を飽きさせない。エルメート・パスコアルやジャバンなど偉大なる先人たちの楽曲を卓越した演奏スキルと独創的な解釈で楽しませてくれる一枚。伝統に根ざしつつも、既存の枠にとらわれない自由な音楽性には脱帽です。