「老北京の胡同」「映画と歩む、新世紀の中国」などの中国の文化・芸術に関する著作で知られる文筆家・多田麻美の新刊。熱狂的なビートルズファンの画家スラバと結婚し、ロシアのシベリア地方イルクーツクで暮らす筆者の海外事情エッセイ。本書ではパートナーのスラバとの生活を通して、ソ連、ペレストロイカ、ロシアといった歴史の流れの中で、音楽やアート、文化がイルクーツクで生きる人にどのように受容されてきたかを語る。中国文化を研究する日本人の著者、西側の音楽に夢中になるロシア人のパートナー。幾つもの線が奇妙に交錯しながら見事に綴られ稀有な内容となっている。