文明開化の波に揉まれた江戸時代末期の浮世絵師、歌川国芳や月岡芳年らの作品をバイリンガルで紹介した本。「鬼滅の刃」「呪術廻戦」など世界を虜にする和風ダークファンタジーの世界観に通ずるものがここにあるのかもしれない。作品解説は的確に、簡潔にまとめられて読みやすく、生と死が漂う荒々しいエネルギーを秘めた作品が並ぶ。作品の全体像を見せつつ、一部を拡大して掲載しているものもあり迫力満点。ページをめくるたび絵師たちの静かなる興奮を感じられる。人ならざるもの、怪異、戦、叶わぬ恋といった精神的/身体的な死を強く感じさせるテーマは、かえって鑑賞者の生きることへの欲望を駆り立ててきたのだろう。