久しぶりにイタリア・オペラの本流の歌を聴いた。シャイーとミラノ・スカラ座は現代望みうる最高の組み合わせで、この録音でも卓越した音楽を聴かせる。コロナ禍においては歌の、中でも合唱を行うことを難しくさせた。2022年6月録音のヴェルディのオペラ合唱作品は、それを乗り越えて歌う素晴らしさ喜びを率直に伝える。「ナブッコ」「ドン・カルロ」「トロヴァトーレ」「アイーダ」の有名曲を収録。加えて合唱作品集では珍しい「シモン・ボッカネグラ」のプロローグの“万歳、シモン”を最後に置いているのは、シャイーと同郷でこの作品を愛した名指揮者クラウディオ・アバドへのオマージュのように思った。