レスピーギの管弦楽作品を詳細に取り上げ続けているジョン・ネシリング。“かっこう”のさわやかなさえずり、どなたも耳にしたことがあろう憂愁の“シチリアーナ”。鶴首していた2つの組曲を一枚に収録、良質な演奏が高精細な録音で愉しめる、新世代のディスク・ライブラリーにぜひとも加えたい。レスピーギが聖チェチーリア音楽院の図書館に籠っていそしんだ古楽探究の賜物、ルネサンス、バロック期の鍵盤作品やリュートのための作品を多彩にオーケストレーションした佳曲の花束。古い精巧な細工物を扱うようにネシリングの手つきは入念で、素朴な旋律、新旧の意匠を凝らしたハーモニーを情感豊かに彫琢していく。