(左から)南出大史、中野武瑠、Switch ON、タイゾー

〈誰も聴いたことのない新しい音楽を生み出したい〉という瑞々しい野心と、〈自分たちに対してリアルでありたい〉という実直さ――なんて最高なんだろう。Maverick Mom(メイブリックマム)。石川県を拠点に活動する若き4ピースバンドである。まだ出会っていないのなら、今すぐあなたに出会ってほしいバンドだ。出会えばきっと、心も体も踊り始める。

結成は2022年4月。まだまだ走り出したばかりのバンドではあるが、既にROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022や百万石音楽祭2023 ~ミリオンロックフェスティバル~などの大型フェスティバルにオープニングアクトとして出演。今年3月に地元・石川で開催したホールワンマンは、1,100人を超える動員を記録している。この魅力に溢れた4人組に、多くの人が気づき始めているということだ。

最近リリースされた初の全国流通盤ミニアルバム『unknown』もめちゃくちゃ、いい。〈俺たちに禁じ手はない〉と言わんばかりに楽曲には多彩なバリエーションがあり、同時に、そこにはバンドの〈今〉が、体温が、惑いが、喜びが、不安と希望が、確かにパッケージングされている。

そんなMaverick Momの、初々しくもソリッドなインタビューをお送りする。残念ながら素晴らしいベースを弾くタイゾーは体調不良により欠席となったが、南出大史(ボーカル/ギター)、中野武瑠(ギター)、Switch ON(ドラムス)、この3人の発言から、バンドの才気を感じ取ってもらえるはずだ。

Maverick Mom 『unknown』 Eggs(2023)

 

ワンオクからOKAMOTO’Sまで、4人のバラバラなルーツ

――まずはおひとりずつ、お名前とMaverick  Momでのパート、そして、現時点でご自身が大きく影響を受けていると思うアーティストや作品を教えてください。

南出大史「Mavercik Momのギターボーカル、南出大史です。影響を受けたのは、なんだろう……。僕は歌うことが好きなんですけど、小さい頃に初めて覚えた歌がTHE BLUE HEARTSさんの“リンダリンダ”でした。歌詞の意味も分からないけど、幼稚園生くらいの頃の僕には衝撃的でしたね」

中野武瑠「リードギターの中野武瑠です。影響を受けたのは……曲とギターで変わってくるんですけど、曲だと、ONE OK ROCKやTHE ORAL CIGARETTESの曲調が好きです。ラウドロックが好きなので、激しくてノリやすい曲が好きですね」

Switch ON「ドラムとコーラスをしています、Switch ONです。僕のお父さんがミュージシャンで、谷口崇っていうんですけど。谷口崇の『becoming』というアルバムは、ポップスとオルタナティブの狭間にある感じがして、僕が理想としている音楽という感じがします」

谷口崇 『becoming』 YAMAHA(1998)

――今日は体調不良で残念ながら取材に参加できなかったですが、ベースのタイゾーさんはどんな音楽がお好きな方ですか?

南出「タイゾーはOKAMOTO’Sが凄く好きですね。ハマ・オカモトさんをリスペクトしていて、弾き方やパフォーマンス、衣装なんかの面でも凄く参考にしていると思います」