スコットランド発、軽妙なメロディーとビートの効いたギター・ロック・サウンドで、日本でも人気を博す4人組のスナッツ。2022年の前作『Burn The Empire』のあと、彼らはメジャー・レーベルを離れ、自主レーベルのハッピー・アーティストを設立した。やはり〈アンハッピー〉な状態だったのだろうか?

 「キャリアが進むにつれて、音楽自体とかけ離れた活動が増えていったんだ。SNSをがんばらなきゃいけない、とかね。僕たちはまずミュージシャンだし、ファンに対しても正直でありたいと思ったんだ」(ジャック・コクラン:以下同)。

 実にストレートなレーベル名には彼らのアティテュードが表れている。

 「契約したディストリビューターのトップがスタジオに来てくれたんだけど、そこで〈万事快調か?〉と訊かれて、〈はい、とてもハッピーです〉と答えたんだ。そうしたら彼が〈いいね。ハッピーなアーティストほど素晴らしいものはないよ〉と言ってさ。すごく印象に残ったので名前にしたんだ。アーティストって内向的な人が多いよね。レーベルは彼らへと不必要なプレッシャーを与えず、ハッピーでいられるようにすべきだと思う」。

 レーベルの第1弾アルバムとしてこのたびリリースされたのが、通算3作目『Millennials』。本作はジャック、そしてバンドの旧友であるスコット・アンダーソンが共同プロデュースを担っている。

 「今回は友達と一緒に作りたかったんだ。スコットとはお互いに対して超正直でいられる関係だから、〈これはどう?〉〈これはいいと思う?〉と率直に言い合うことができた。すごく楽だったよ。僕にとっては初めて本格的にプロデュースした作品だけど、前2作で才能のある人たちからいろいろ学べていたし、今度は自分でできると思ったんだ」。

THE SNUTS 『Millennials』 Happy Artist/The Orchard(2024)

 本作は、スナッツのディスコグラフィーのなかでも、もっとも陽性のエネルギーに溢れたアルバムだ。「僕と妻が出会い、一緒になることを決めたときのフィーリングを曲中のキャラクターたちを通じて出したんだ」という、恋に落ちる瞬間をどこまでもロマンティックに描いたパンク・ソング“Gloria”を皮切りに、リスナーの中にポジティヴィティーを沸き上がらせる楽曲を揃えている。

 「『Burn The Empire』の頃はコロナ禍もあったし、僕たちもいろんな面でフラストレーションを感じていたから、作品に苛立ちや怒りをぶつけていた。今回は僕たちの生活も落ち着いてきて、あらゆることが順調だったから、みんなもっとハッピーで健全な状態だったんだ。そういう心境が作曲にも表れていたんだと思う。〈この先の人生も大丈夫そうだ〉という気持ちを映しているんだ」。

 ティーンエイジ・ エンジニアリング社の名器、Op-1などのシンセや打ち込みのビートが効果的に使われているサウンドにもジョイな感覚が漲っており、どの曲も多彩なフックでまったく飽きさせない。

 「前よりもずっとポップになったよね。今回は臆せずにポップへと頭から飛び込んで行った感じだった」。

 ポップ・パンク調で「ブリンク182をブリティッシュにした感じ(笑)」とジャックは語る“Butterside Down”や、サーフ・ポップ×ポスタル・サーヴィスな“Wunderkind”などを経て、最終曲の“Circles”はスタジアムでの大合唱が目に浮かぶアンセミックなバラードだ。

 「初めてストリングスを導入した楽曲で、自分でもすごく気に入っているよ! 映画の終わりみたいなムードにしたかったんだ。未来に怯えることなく、自分なりの愛や信じられるものを見つけて、生きることの大事さを歌った曲だね」。

 5月には来日公演を控えているスナッツ。最後に日本でやりたいことを教えてもらった。

 「日本の料理は本当に多彩だから、いろいろなものを食べてみたいな。あと日本で野球の観戦をしてみたいんだよね」。

 この春、どこかの球場でジャックの姿を見ることができるかもしれない。

 


スナッツ
ジャック・ コクラン(ヴォーカル)、ジョー・マッギリブレー (ギター)、カラム・ウィルソン (ベース)、ジョードン・マッケイ(ドラムス)から成る4人組バンド。2015年にスコットランドのウェストロージアンで結成され、2018年以降いくつかのシングルを発表したのち、2021年にファースト・アルバム『W.L.』をリリース。2022年に2作目『Burn The Empire』を発表、2023年には〈サマソニ〉にて初来日を果たした。このたびニュー・アルバム『Millennials』(Happy Artist)をリリースしたばかり。