リコーダーで気持ちを伝える笛星人

特定のカテゴリーからスルリと飛び出し、聴く者を躍らせる音楽ユニット、ゴリラ祭ーズが、2024年2月22日に京都someno kyotoにて〈ゴリラ祭ーズ祭り2024〉を開催した。出演は順に、ゴリラ祭ーズ(3人)、那なみきと笛星人、kiyori、舩越悠生、古賀~ズ、平野駿、ゴリラ祭ーズ(5人)。なんて多彩なラインナップなのだ、まるで大規模なフェスではないか、と思う方も多いのではと思うが、実はこれ、古賀礼人、舩越悠生、平野駿、さらに、那なみき、kiyoriの計5人が主役にも引き立て役にもなり、分身の術のように己の存在を飛び散らせながら、さまざまなフォーマットでさまざまな音楽世界を表現したイベントなのであった。それぞれがメインを張れる各ミュージシャンの個性と、ともに演奏した時の一体感。その両方を浴びて、すっかり気分が爽快になった。

古賀礼人(ギター/ボーカル)、舩越悠生(鍵盤ハーモニカ)、平野駿(リコーダー/パーカッション)からなる基本形、ゴリラ祭ーズ(3人)が代表曲である“有楽町のうた”や“ゴリラ祭ーズのえかきうた”を軽やかにプレイした後、ゴリラ祭ーズ(5人)ではベースを担当する那なみきがアコースティックギターの弾き語りで登場。彼女の両脇にいるのは〈笛星人〉だ。笛星人は言葉を理解できるものの、自分ではしゃべらず、リコーダーを吹くことで気持ちを伝える。那なみきと笛星人たちの間には人間/宇宙人の壁などなく、確かに心が通じ合っていた。なかでも、とくに“おふろ”は私の耳を捉えた。続いてはゴリラ祭ーズ(5人)のドラマーであるkiyoriが、エレクトリックギターの弾き語りで登場。骨太な歌声、タイトな3ピースアンサンブル(ドラムは古賀礼人)に引き込まれた。

 

未来の惑星からのソニックボンバーとして響く鍵盤ハーモニカ

そしてこの夜、最もアバンギャルドなプログラムだったであろう舩越悠生のソロパフォーマンス。私は数年前、ブラジルのカリスマ音楽家であるエルメート・パスコアールが鍵盤ハーモニカの歌口さえもつけずに直接くわえてブカブカと大胆な即興演奏をしていたのを見聴きして以来、あらためてこの楽器への関心を強めているのだが、自在にエフェクトをかましながらの舩越のプレイは、まるでこの楽器が遥か未来に未知の惑星から来たソニックボンバーなのではないかと思えるほど神秘的な響きで羽交い絞めにした。

続く古賀~ズが、また攻めている。曲は“そのままの君でいて”、一聴、3ピース編成によるラブソングなのだろうなと思ったら、しだいに、すさまじい毒、文学性が押し寄せてくる。それを実に抒情的なメロディに乗せて歌い綴る古賀礼人の深みを感じさせられた。

自由時間(休憩)を経て、平野駿による“ゴリラ祭ーズのえかきうた 改良案①”。プレゼン形式で、国民的アニメのえかきうたと比較対照しながら、“ゴリラ祭ーズのえかきうた”が抱える課題をあぶり出す。メンバー本人が、自分のバンドのえかきうたをどう考えているのかを知る貴重な機会でもあったし、バンドにえかきうたがある世界中のバンドマンの大きな参考にもなるに違いない。

 

祭りの熱狂はピークに?

大トリを飾るのは、もちろんゴリラ祭ーズ(5人)。ここに至るまで、それぞれのセットで個性を発揮してきたメンバーが1stフルアルバム『ゴリラ祭ーズのアルバム』からの“走れ!ゴリラ”や“遅刻魔”、2ndフルアルバム『EXTREME ENNUI SUPER ULTRA POP』からの“こんにちは”、アニメ「ちいかわ」から“ひとりごつ”のカバー、タイトル未定の新曲などを一丸となって届け、〈ゴリラ祭ーズ祭り2024〉の熱狂はピークに達した。

そんなゴリラ祭―ズの今後の主なライブには、4月21日に金山ブラジルコーヒーで行われる〈ENNUI POP TOUR 2 名古屋編〉(ムルヒ、百景借景、ゴリラ祭ーズ(5人)が出演)、6月23日に東京で行われる公演(詳細は後日!)がある。〈エクストリームアンニュイスーパーウルトラポップバンド〉の真髄をぜひナマで体感してほしい。

 


SETLIST
■ゴリラ祭ーズ(3人)
1. エクスカージョン・ミュージック
2. 有楽町のうた
3. ゴリラ祭ーズのえかきうた
4. ゴリラ祭ーズのテーマ

■那なみきと笛星人
1. 笛星人(出会い)
2. 駐車場のおっちゃん
3. おふろ
4. 笛星人(別れ)

■kiyori
1. あなたのこと
2. 夢のなか

■舩越悠生
1. 鍵盤ハーモニカ即興ソロ

■古賀~ズ
1. そのままの君でいて
ほか 自由時間

■平野駿
1. ゴリラ祭ーズのえかきうた 改良案①

■ゴリラ祭ーズ(5人)
1. 走れ!ゴリラ
2. 寝ても覚めても
3. 遅刻魔
4. レジ
5. 棒
6. ひとりごつ(cover)
7. 早春
8. 新曲
9. こんにちは

ENCORE
1. ラガマフィン

 


RELEASE INFORMATION

ゴリラ祭ーズ 『EXTREME ENNUI SUPER ULTRA POP』 TOWER RECORDS(2023)

リリース日:2023年10月11日(水)
品番:TRJC-1153
形態:CD 
価格:2,500円(税込)
特典:初回プレス盤のみ特製ステッカー封入
タワーレコード限定先着特典:タワーオンライン、店舗共通音源特典CD-Rあり(ライブ音源集)
ライブ会場購入者限定:音源特典CD-Rあり(デモ音源集)

TRACKLIST
1. グッドバイ
作曲:古賀礼人 編曲:ゴリラ祭ーズ
2. Ayafuya
作曲:舩越悠生 編曲:ゴリラ祭ーズ
3. シラフ
作曲:舩越悠生 編曲:ゴリラ祭ーズ
4. 未来
作詞・作曲:古賀礼人 編曲:ゴリラ祭ーズ
5. スキップ
作曲:舩越悠生 編曲:ゴリラ祭ーズ
6. 作家
作曲:古賀礼人 編曲:ゴリラ祭ーズ
7. そうはいっても
作詞・作曲:古賀礼人 編曲:ゴリラ祭ーズ
8. 秘密
作詞・作曲:古賀礼人 編曲:ゴリラ祭ーズ
9. タワーマンション
作曲:古賀礼人 編曲:ゴリラ祭ーズ
10. こんにちは
作曲:舩越悠生 編曲:ゴリラ祭ーズ

 

LIVE INFORMATION
ENNUI POP TOUR 2 名古屋編

2024年4月21日(日)愛知・名古屋 金山 ブラジルコーヒー
開場/開演:18:30/19:00
出演:ゴリラ祭ーズ(5人)/ムルヒ/百景借景
予約:2,500円(+1ドリンク 500円)

2024年6月23日(日)東京
※詳細は後日発表

 


PROFILE: ゴリラ祭ーズ
2017年結成。
・古賀礼人 コガアヤト(ギター・ボーカル、23歳)
・平野駿 ヒラノシュン(リコーダー、22歳 鳥取大学農学部4年生)
・舩越悠生 フナコシユウキ(鍵盤ハーモニカ、21歳 同志社大学文学部4年生)
による滋賀県発のスリーピースバンド。リコーダーや鍵盤ハーモニカを使ったインスト曲を中心に日々新しいサウンドを模索し、ライブ活動のほかYouTubeにてオリジナル、カバー楽曲を公開するなど精力的に活動中。ニッポン放送「オールナイトニッポン」の企画〈有楽町うたつくり計画〉最優秀賞受賞作品“有楽町のうた”を2021年6月23日にオールナイトニッポンレコーズよりリリース(有楽町エリア限定店舗販売)。またKBS京都テレビ・ラジオの開局70周年記念〈“KBS京都のうた”をつくろう企画〉では歌詞を一般公募し、楽曲制作および歌唱・演奏をゴリラ祭―ズへオファーいただき、昨年12月に完成楽曲を披露。オールナイトニッポンポッドキャストのジングル、FM滋賀のジングルも制作。2023年2月滋賀県大津市を走る京阪電車石山坂本線(通称:石坂線)を舞台に2007年から始まったプロジェクト〈電車と青春21文字メッセージ〉のイメージソング“21文字のうた”を発表。その才能は上記各放送局担当者も認める将来性に溢れた現役大学生バンド、それがゴリラ祭-ズ。2022年4月13日、ファーストフルアルバム『ゴリラ祭―ズのアルバム』をリリース。2023年3月、サードEP『ゴリラ祭りーズ』をリリース。2023年10月11日、セカンドフルアルバム『EXTREME ENNUI SUPER ULTRA POP』をリリース。

アーティスト自身による自己紹介
ゴリラ祭ーズは、2017年に結成した滋賀発三人組エクストリームアンニュイスーパーウルトラポップバンド。リコーダーや鍵盤ハーモニカを使ったインスト曲を中心に、ぼちぼちがんばっている。
古賀礼人(コガアヤト):主にギター・作曲を担当。「こんにちは!!」
平野駿(ヒラノシュン):主にリコーダーを担当。「うおお! がんばるぞ!!!」
舩越悠生(フナコシユウキ):主に鍵盤ハーモニカ・作曲を担当。「よろしくお願いします!」