ホロライブ所属の〈エリート巫女アイドル〉が豪華なクリエイター陣を迎えた最高のファースト・アルバムを完成! 自身の軌跡を綴った花束のような『flower rhapsody』には夢の先へ向かう彼女の現在が咲き誇っている!

さくらみこを作ってきたもの

 今年4月にYouTubeのチャンネル登録者数が200万人を突破、いつも笑いの絶えない賑やかな配信で人気を博している、女性VTuberグループ〈ホロライブ〉を代表するタレントのひとり、さくらみこ。同じホロライブ所属のときのそらに憧れを抱き、2018年8月に活動を開始した彼女がめざすのは、唯一無二のエリート巫女アイドルになることだ。デビュー当初は「アイドルになりたい夢は一丁前に持っていたけど、いかんせん歌もダンスも経験がないし、自分の特徴的な声を活かす歌い方がわからなくて悩んだりもしていました」と話すが、そのかわいらしい声質を全面に押し出した“マイネームイズエリート☆”(2019年)、自身の趣味である美少女ゲームの主題歌風の美エモな曲調にファンへの感謝の気持ちを乗せた代表曲“サクラカゼ”(2020年)といった楽曲を発表していくなかで、「キャラソンみたいに〈元気溌剌にキャラを付けて歌うぞ!〉というだけでなく、シンプルにありのままで歌うのもアリなんだな」ということに気付き、歌への自信をつけてきたという。

さくらみこ 『flower rhapsody』 カバー(2024)

 以降もユニットやコラボを含めて多彩な楽曲を発表し、2023年8月には初EP『heart♡connect』を配信リリースするなど、音楽活動も精力的に行ってきた彼女が、活動7年目で満を持して完成させたのが、このたびリリースされるファースト・アルバム『flower rhapsody』。実は昨年のリリースに向けて2年ほど前からアルバム制作を進めていたそうだが、彼女としては初のワンマン・ライヴと連動する形で届けたい気持ちが強く、ライヴの開催が叶わなかった2023年は既存曲を中心にEPとして発表し、すでに完成していたいくつかの楽曲は今回のアルバムまで温存していたのだという。

 「EPはみこから35P(さくらみこのファンの呼称)に向けて感謝を歌った曲が多かったんですけど、アルバムは〈自分らしさ〉をコンセプトに制作しました。一曲一曲がいままでの自分の軌跡というか、さくらみこを作ってきたものになっていて。例えば“にゃっはろーわーるど!!!”は配信活動がテーマで、カルロス(袴田)さんに配信の要素をいっぱい入れてもらったらネタ満載の楽曲になりました(笑)」。

 

自分の知らない自分らしさ

 配信で生まれた数々の名言・迷言やポンコツなエピソードが盛り込まれたその“にゃっはろーわーるど!!!”を筆頭に、“マイネームイズエリート☆”と同じキノシタ制作によるかわいさ全開の原点回帰曲“きゅんきゅんみこきゅんきゅん♡”、さらに〈ライヴを通してファンの熱量を知った自分〉とファンが自発的に行っている毎日11時35分に〈みこち大好き〉とポストする習慣をテーマにしたコール満載曲“1135”など、彼女らしい明るく賑やかな楽曲がアルバムには満載されている。

 「聴いた人が元気や笑顔になれるというのは、みこのアイドル像として大切にしていて。気付いたらアルバムはほぼ明るい曲で占められていて、自分でもびっくりしました(笑)」。

 その一方で、じん書き下ろしの華やかなブラスが印象的な“DAI DAI DAI ファンタジスタ”や、ナナホシ管弦楽団提供の春めいたアップ・チューン“さくらんぼメッセージ”のように、ハッピーな曲調のなかにパーソナルな一面が盛り込まれた楽曲も多く収録されている。

 「“DAI DAI DAI ファンタジスタ”は〈人と比較してしまう自分〉をテーマにしていて。じんさんには、活動初期の頃に他のメンバーと開催したヴァーチャルお渡し会で現地に来てくれたみこのファンは1人だけだったというエピソードをお話したんですけど、じんさんはそれに対して、あえて明るくてノリノリの楽曲を作ってくれたんです。過去の自分を投影しつつめっちゃポジティヴに歌うことができました。“さくらんぼメッセージ”のテーマは〈VTuberになる前の自分〉。自分の声にコンプレックスを抱いていた学生時代に、同じクラスのギャルの子が〈みこの声、めっちゃいいじゃん、かわいい!〉って褒めてくれて、それから自分の声が好きになった思い出をお話したうえで、ナナホシさんらしい青春っぽい曲を作ってもらいました」。

 さらにアルバムのオープニングを飾る“SUNAO”は、いきものがかりの水野良樹が詞曲を提供。〈自分ですらわからない自分〉をテーマに「〈自分らしさ〉を問われても答えが出なかった。でも、見つけたい、主人公のような自分になって輝きたい!」という思いを水野に伝え、〈素直がいちばん〉という彼女自身の活動スタンスにも通じるメッセージをまっすぐに伝える名曲に仕上がった。

 「自分が歌を好きになったルーツとしてまず思い浮かぶのが、いきものがかりさんで。学生時代に仲の良い友達と一緒に初めてカラオケに行って、その子が歌ってくれたのがいきものがかりさんの楽曲だったんです。そのなかでも“SAKURA”という曲が印象に残っていて……みこの名前と同じなのは偶然なんですけど(笑)、そういう思い入れもあって水野さんにオファーさせていただきました。〈キミがわたしをみつけてくれるんだ 照れるけれど 愛なんだね〉というすごくストレートな歌詞があるんですけど、ファンのために歌った曲はたくさんあれど、こんなに超まっすぐ愛をぶつけることなんてなかったし、それまでは綺麗な言葉遣いなのに最後のほうで急に〈ほんとマジで 大事だから〉ってなるのも、みこらしいなと思って(笑)。普段の配信も〈自分のありのままの気持ちでやろう!〉って振り切るようになってから、気負わず楽しめるようになったので、本当に〈素直がいちばん〉だなって思います」。

 

ひとつ夢が叶ったら

 そして、ネットで活動するうえで避けられない否定的な声の存在を「そういう人たちがいるから自分も強くなれた側面があるので、それを肯定するでも否定するでもなく、自分の思っていることを素直に謳った曲」だという真島ゆろ作の“ライクとヘイト”、「初期の頃は〈自分らしさ〉がわからなくてもがいていたけど、ファンの人たちのコメントを見て、自分にどんどん自信を持つことができて。〈自分らしさ〉を教えてくれたのは、自分より自分のことを好きになってくれるファンだったな、という気持ちを込めてもらいました」と語る40mP製の端正なミディアム“Re:flection”と、より核心に迫る楽曲を経て、アルバムのラストに置かれているのが、昨年から温めていたというタイトル曲“flower rhapsody”。こちらは堀江晶太が詞曲を担当し、堀江とはPENGUIN RESEARCHの盟友でもある神田ジョンが手掛けたオーケストラルなアレンジの壮大さも相まって、祝福感の広がる印象的な仕上がりだ。

 「テーマは〈今のみこから過去のみこへ〉。35Pへの気持ちは“Re:flection”で歌っているのに対して、この曲は自分に向けて歌った部分が強いです。堀江さんに〈過去の自分に何かを伝えるなら?〉と質問されたとき、みこがあれこれ考えて辿り着いたのは〈大丈夫だよ〉というシンプルな言葉で。いままで大変なこともあったけど、そのひとつひとつが全部みこに繋がっているし、そこを捨てないで生きてこれたんだなって思ったんです。特に〈今も 迷うよ 今も 悔しいよ でも わたし、わたしでよかったよ〉と素直に言う歌詞がすごく良いし、〈終わらない 不思議を 掴むための てのひら〉の〈てのひら〉も、“サクラカゼ”の振付けで桜を表現するときに手のひらを重ねることに繋がっていて、気づいたときに鳥肌が立ちました(笑)。アルバムやライヴのコンセプトもこの曲があってこそなので、みんなに届いてほしいです」。

 10月26日に開催される初ソロ・ライヴに向けて、いろんな〈自分らしさ〉を見つめ直すことで生まれた『flower rhapsody』は、さくらみこというVTuberの軌跡と生き様を、無闇に象るのではなく、そのまま表現した作品と言えるだろう。

 「みこも昔は〈自分らしさ〉をひとつの言葉にまとめなくてはいけないと思っていたけど、それは違うなと思って。いろんな一面があっての自分だから、いろんな自分を認めることがすごく大事ということに気づけました。いま、毎日が楽しいんです。〈人の夢は終わらねぇ!〉っていう名言(『ONE PIECE』の黒ひげのセリフ)はその通りで、ひとつ夢が叶ったら、今度はもっとこうしたいっていうのが出てきて、次のアルバムで歌ってみたい曲もどんどん増えていって。なのでもっと夢を叶えていけるように、欲張って長生きしようと思います(笑)」。

参加クリエイターの作品を一部紹介。
左から、いきものがかりの2024年のシングル『晴々!/青のなかで』(エピック)、じんの2022年『アレゴリーズ』(ユニバーサル)、かいりきベアの2020年作『ベノマ』(Subcul-rise)、PENGUIN RESEARCHの2024年のシングル“Fire and Fear”(SACRA MUSIC)

 

さまざまな角度から注目のリリースが続いているホロライブのアーティストたち!

 2024年を代表するヒットのひとつ“ビビデバ”を生み出した星街すいせいをはじめ、注目の女性VTuberグループとしてすでにその範疇を越えるほど存在感を大きくしているホロライブ。さくらみこは始動の時期や所属の経緯が異なる面々――ときのそら、ロボ子さん、星街すいせい、AZKiと並んで〈ホロライブ0期生〉と位置付けられているが、近年は個々が全国流通のCDをリリースする例も増えてきた。

 まず、さくらみこも憧れたVTuberの先駆者にしてホロライブの看板・ときのそらは2019年にメジャー・デビューし、最新シングル“おかえりなさい”に至るまでコンスタントに作品を重ねているほか、AZKiと組んだSorAZでも昨年末にメジャー・デビュー。そのAZKiもクラムボンのミトらを招いたメジャー初作『Route If』を発表したばかりだ。

 メジャー進出組では、星街すいせいはTAKU INOUEとMidnight Grand Orchestraを組むほか、MAISONdesとのコラボなどでも活躍中。また、英語圏を中心に活動するhololive English -Myth-所属のMori Calliopeは、ラップの技量を活かした快作『PHANTOMIME』(Chaki Zuluやウォーガズムも参加!)も記憶に新しい。他にも、Cö shu Nieらを迎えた常闇トワの『Aster』、ケンモチヒデフミや佐藤純一(fhána)、FAKE TYPE.と組んだ角巻わための『Hop Step Sheep』、Giga & TeddyLoidらを招いた天音かなたの『UNKNOWN DIVA』など各々の作品が興味深い。

 それらソロ作品以外にも、DECO*27とのコラボ・プロジェクト=holo*27(さくらみこは兎田ぺこらと“モッシュレース”で参加)、HoneyWorksとのhololive×HoneyWorks(さくらみこは“motto☆いちごオレ”のカヴァーを披露)、翳りのある感情をグループで表現する大所帯プロジェクト=Blue Journey(さくらみこも参加)など、多角的に拡大しているホロライブの動きにはますます注目なのだ! *狛犬

左から、星街すいせいの2024年作『ビビデバ』(ソニー)、ときのそらのニュー・シングル“おかえりなさい”、AZKiの2024年作『Route If』(共にビクター)、Mori Calliopeの2024年作『PHANTOMIME』(ユニバーサル)、常闇トワの2023年作『Aster』、角巻わための2024年作『Hop Step Sheep』、天音かなたの2024年作『UNKNOWN DIVA』(すべてカバー)、holo*27の2023年作『holo*27 Originals Vol.1』(トイズファクトリー)、hololive×HoneyWorksの2024年作『ほろはにヶ丘高校-Covers-』(カバー)、Blue Journeyの2024年のシングル“水たまり”(ユニバーサル)