もともとヴルフペックやトム・ミッシュに通じるインディー・アクトとしてその筋で脚光を浴び、HALFBYやReiとのコラボでも支持層を拡げてきた南カリフォルニア出身のマルチな才人がゴーストリーに移籍して新作をリリースした。〈日本のシティ・ポップと、フレンチ・ポップ、フィリー・ソウル、『Ram』時代のポール・マッカートニーといった西洋の音楽との創造的で文化的な対話〉に夢中になって育った……という資料の形容で何となく雰囲気をイメージできれば、それ以上の説明は必要ないような気もする。2022年のEP『Nisemono』の続きを描くというコンセプトをウィットとセンスと遊び心で包んだ好盤だ。