左:長岡道夫 右:芳野藤丸

ニッポンが誇るスーパーバンド〈SHŌGUN〉 メロウグルーヴをコンパイルしたベスト盤を発表

 近年、再評価の機運高く、メンバーの活躍を目にする機会も多いニッポンが誇るスーパーバンド〈SHŌGUN〉。今を遡ること45年前、ファーストコールのスタジオミュージシャンが集結したこのバンドは、当時のアメリカで言うならStuff、TOTOのような存在。やはり注目を集めるのに時間はかからず、ドラマのテーマ曲となった“男達のメロディー”“BAD CITY”などは大ヒットした。以降、活動停止や再開を繰り返しつつではあるが、今年でなんと45周年。そんな彼らの軌跡を辿ったベスト盤が2タイトル発売される。その第1弾としてリリースされるのがこの『best Mellow tunes』だ。SHŌGUNというと、やはりそのイメージはダンサブル&ファンキーなサウンドだと思うが、本作は彼らのもう一つの側面、スローからミディアムテンポのメロウグルーヴをコンパイルした作品であり、知られざる名曲も収録されている。

SHŌGUN 『best Mellow tunes<タワーレコード限定>』 STEPS(2024)

 キャリアを通じて制作された8枚のアルバムから選りすぐられた楽曲だけあって、そのクオリティの高さには驚く。歯切れよくグルーヴするカッティングやエモーショナルでブルージーなギターソロ、スタジオワークで鍛えられたセンスのよい音選びとポケットにピタッとハマるリズム隊、バンドに厚みを与えつつもそのサウンドに華やかさを与えるオルガンやピアノ。そしてこのバンドが他と一線を画す大きな要因でもある芳野藤丸のAORを感じさせる歌声。そのほとんどが英詞の楽曲であることも大きいが、洋楽のグルーヴ、フレイバーが満載で、当時の最先端を日本に紹介していたことがよく分かる。かつてを知る人には懐かしく、またこれから知る人にとってもその洗練されたサウンドは現在でも通用する十分な魅力を放っている。

 アルバムの最後には、彼らの代表曲でもある“BAD CITY”“男たちのメロディー”のセルフカヴァーや “Lonely Man”のAcoustic Liveも収録。これを聴くだけであの頃を知るものとしては嬉しい限り! あらためてオリジナルも引っ張り出して聴いたことは言うまでもない!