第九の名旋律〈ミミファソソファミレ ドドレミミーレレ〉は世界一知られる音楽だ。これに伴うシラーの詩「歓喜に寄す」の内容を知ることで第九の本当の姿を伝える。1781年発表の詩は旧体制を覆す激烈な内容。1803年の改訂で1789年のフランス革命でそれを実現した人々は目標を失い事態は混沌に陥る様子がシラーを失望させ、穏やかな平和希求の内容になった。これを元にベートーヴェンが第九に反映。〈歓び〉の表現なら例えばメンデルスゾーンの“讃歌”がもっと評価されるべき。ただのお祭り音楽では歴史に残らない。第4楽章で低弦による否定を重ねた上で声楽を挿入した意味を知ることができる。