2000年代のJ-POPシーンを席巻した川瀬智子(the brilliant green)のソロプロジェクト、Tommy february6。2024年から海外を中心にTikTokなどで人気が再燃、突然のリバイバルに当時を知るファンは驚き、新たなファンはその80sサウンドと独自のビジュアルに夢中になっている。各メディアですでに話題になっているTommy february6の再ブームだが、1stアルバム『Tommy february6』(2002年)のアナログ盤再発も決まったいま改めてその背景に迫る。 *Mikiki編集部


 

2000年代、登場時の凄まじいインパクト

シティポップブームはもはや完全にひとつのスタイルとして定着し、NewJeansやIVEといったK-POP第4世代が代表的なY2Kリバイバルの波も到来しつつあるが、アラサー・アラフォーの音楽ファンには「懐かしい!」と思わず声が出てしまうようなトピックが盛り上がっている。

昨年2024年からTommy february6がバイラルヒットしているのをご存知だろうか。TikTokで“Lonely in Gorgeous”が人気の楽曲となっており、北米&南米、イギリス、カナダ、中国、韓国……海外の若者たちが、この楽曲とともにY2Kリバイバル風のファッションやメイクを楽しむ動画が多数アップされている。

♬ Lonely in Gorgeous - Tommy february6/heavenly6 US

Tommy february6は、the brilliant greenのボーカルであった川瀬智子が、2001年から活動開始したソロプロジェクト。the brilliant greenのオルタナティブロックやグランジの影響を受けた物憂いバンドサウンドから一転して、シンセポップ~MTVヒッツ的なポップで明るい80年代風のサウンドと、チアリーダーをダンサーに従え、リサ・ローブ風のメガネがトレードマークの〈Tommy〉を演じる川瀬智子=Tommy february6の登場は衝撃的であった。世界中で準備されつつあった〈80年代リバイバル〉を、日本のマーケットにとって最もちょうど良いタイミングと完成度で提示したTommy february6のインパクトは、凄まじいものがあった。当時、小学生だった筆者にも、そのギミックへのこだわりは充分にキャッチできるものだった。ちょっと検索するだけでも当時の歌番組での出演や、「Zipper」から「週刊朝日」まで表紙を飾ったメディアの数々がヒットする。〈時代が追いついた〉〈やっと評価された〉ではなく、あくまで当時から高い人気を誇っていたことは押さえておきたい。

ちなみにTommy february6から派生したTommy heavenly6名義では、これもまたイメージチェンジし〈Tommyのダークサイド〉をテーマにゴスなメイクとHR/HM寄りのサウンドを展開し、こちらも人気を博した。