東京を拠点に活動する5人組バンド、Moon In June。ギターボーカルのmihoを中心に、3本のギターを交えながら、爽やかなメロディを多彩なアレンジの中で聞かせるプロジェクトだ。YouTubeのコメント欄を覗くと、欧米圏をはじめとした諸外国からのラブコールも多く、彼らのサウンドが国内のシーンを飛び越えるほどのポテンシャルを有していることが窺える。
そんなMoon In Juneが前作より1年半ぶりとなる2ndアルバム『色彩を持たないで』を発表する。轟音の中で歌を聞かせるという軸は残したまま、バンドの幅の広さを体現したという本作のリリースに合わせ、今回はメンバー5人へのインタビューを実施。様々な変遷を経て今の体制になるまでの経緯から、彼らが括られる〈シューゲイズ〉というジャンルへの簡単には噛み砕くことのできない想い、そして『色彩を持たないで』での試みまでたっぷりと伺うことができた。現在のMoon In Juneの立ち位置から見えるもの、そしてこれから向かう場所。その模索と挑戦の行程を、ぜひ追体験していただきたい。
紆余曲折を経て5人が集まるまでの物語
──まず、Moon In Juneはどのようにして始まったプロジェクトなのでしょうか?
miho(ボーカル/ギター)「2018年に最初のメンバーが集まったんですけど、活動はすごくマイペースで。それで2020年に『海鳴り』という作品を出した後に、熱量の違いでメンバーが抜けて、解散しそうになったんです。ただ、当時作っていた曲はバンドで演奏したかったし、自分の歌を歌い継ぎたいと思っていたので、サポートを集めて活動をするようになりました」
──2022年のEP『evergreen』を発表した時は今のメンバーだったんですか?
miho「goukoくんはまだいなかったよね?」
hiroya(ドラムス)「そうそう。俺もまだサポートメンバーだったよね」
──『evergreen』は『海鳴り』と比較すると今のMoon In Juneらしさが見えてきた作品というか、激しいサウンドの中にもポップなメロディが光る曲が収録されている印象です。
miho「『海鳴り』を作った頃はバンド初心者で、他のメンバーに対して遠慮があったんですけど、今のメンバーが集まりはじめてからは本当に書きたかったメロディを歌えるようになりました。スピッツとか1990年代のJ-POPだったり、それより前の歌謡曲やアイドルの曲だったり、自分の聴いていた音楽からの影響も入っています」
──なるほど。2023年の1stアルバム『ロマンと水色の街』は今のメンバーが集まって録った作品なんですかね?
miho「そうです。goukoくんも参加して、今の5人でレコーディングした作品です」
gouko(ギター)「『evergreen』が完成した頃にサポートで声をかけてもらったんですけど、実は3年くらいギターを触ってなくて。元々は一人で宅録をしてるような人間で、バンドからも離れていたので心配だったんですけど、力になれそうだなと思って参加しました」
miho「〈バンド存続のために力を貸してくれ!〉って頼みました(笑)。実は他のメンバーよりも前からgoukoとは知り合いで、とある社会人バンドマン御用達のメンバー募集サイトを使って数年前に会ってたんです。ただその後に音信不通になって……色々あったんだよね?」
gouko「そう、その後にちゃんと謝罪をしました(笑)」
miho「ただ、バンドの活動はずっと見ててくれて。『evergreen』をレコーディングした時期にTwitter(X)で〈ご活躍を拝見しています〉ってDMが来たんです。それで〈生きてた!〉って嬉しくなって(笑)。しかもメンバーを探していた時期だったから、ギタリストとして誘いました」