聴く者を虜にするコケティッシュな囁き声と、ジャンルを横断するサウンドスケープ……
テクノ、トリップホップ、パンク、そして甘美なフレンチ・ポップの要素を独創的に融合させた音楽性に、聴く者を惹き込むウィスパー・ヴォイスが重なり合い、唯一無二の世界観を創出してきたPOiSON GiRL FRiENDことnOrikO。彼女の90年代に発表したアルバム2作がこのたびリイシューされることになった。
まず『SHYNESS』(93年)はモーマスの全面制作で、もともと彼の『The Poison Boyfriend』へのオマージュから名乗っていたプロジェクトとしては念願だったのだろう。ここでは両者の持ち味を融和して往年のセルジュ&シャルロット・ゲンスブール的な妖しい耽美の世界を繰り広げている。一方の『LOVE ME』(94年)はnOrikOのセルフ・プロデュースで自身の色をより深く投影した濃密な仕上がりだ。近年は活躍の場をグローバルに広げている彼女だけに、この2作品が備えた独創的な魅力もここからまた大きく拡張していくに違いない。