TikTokで“Stupid”(2019年)が大ヒットして以降、スター街道を歩んできたアシュニコのセカンド・オリジナル・アルバム。パンセクシュアルの視点から作られた曲群は刺激的だ。“Liquid”では過激な性的幻想を描き、高速BPMのガバ・ソング“I Want My Boyfriends To Kiss”ではキスをしたいと連呼する。一方で、“It Girl”ではエンタメ界が押しつけるクールな女性像に疑問を呈するなど、社会批評も本作の肝だ。インダストリアル色が濃厚なサウンドはK-Pop的という主流ど真ん中だが、言葉にはその主流が抱える歪さを射抜く鋭利な刃が込められている。