トロピカリア以降の自由な精神を最も鮮やかに体現し、ブラジルの美学を更新する俊英SSWセッサによる3作目。前作はチン・ベルナンデスにも通じるアシッド・フォーキーなMPBといった印象だったが、今作ではサイケデリック・ソウルやスピリチュアルな色合いを強め、また古きよきラテン・ジャズのノスタルジックな香りもまとったサウンドへと拡張。タイトルが示す〈小さな恋のめまい〉は、父親になったセッサの新たな生活の中心となり、その時間が彼の音楽にかつてない深みと彩りをもたらしている。そしてその甘美な揺らぎを歌う、彼の柔らかく静謐で官能的な響きのある歌声は、これまでにも増して滑らかで艶やかだ。