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3人の名手のユニークな編成が織りなす優美な色彩

 ウィーン・フィルの首席ハーピストとして、またソリストとして世界的に活躍するアンネレーン・レナエルツがフルート、ヴィオラ、ハープという珍しい組み合わせのトリオ作品を集めたアルバム『フレンチ・トリオ』をリリース。仏語圏の作曲家ドビュッシー、ヴィエルヌ、イベール、ラヴェル、ジョンゲンの作品を、harmonia mundiから積極的なリリースが続くヴィオリスト、ティモシー・リダウトと、ロンドン交響楽団の元首席フルーティスト、アダム・ウォーカーという当代きっての名手との共演で録音した。

ANNELEEN LENAERTS, TIMOTHY RIDOUT, ADAM WALKER 『French Trios』 Warner Classics(2026)

 この編成のオリジナル作は極めて少なく、当録音ではドビュッシーのソナタのみ。それ以外の作品は楽器の置き換え、または編曲だが、響きの相性のよさを実感できる素晴らしい仕上がりだ。

 原曲がピアノ独奏曲であるラヴェルのソナチネを編曲したのは、スペイン系フランス人カルロス・サルセード(1885-1961)。パリ音楽院をハープとピアノ、それぞれ首席で卒業したサルセードは、ヴィルトゥオーゾ・ハーピストとして、近現代のフランス音楽の色彩豊かな響きを探求し、ハープの新たなレパートリーを広げるため、作・編曲作品を数多く生んだ。ソナチネの終楽章“Animé”では主にフルートが東洋的な旋律を担うが、ヴィオラがささえる中音域、そしてハープの下降系半音階の色彩とグリッサンド奏法が実に魅力的。均整のとれたアンサンブルを聴かせる。フランクが音楽的才能を見出したことで知られるヴィエルヌは多くのオルガン作品で知られるが、“2つの小品 Op. 5”はヴィオラ、またはチェロとピアノのために書かれた初期の名曲。リダウトが奏でるヴィオラがこの上なく美しい。“牧神の午後への前奏曲”と“マ・メール・ロワ”より2曲はアンネレーンの兄、ヴァウテル・レナエルツがこのトリオのために編曲した初録音。ハープとヴィオラがフルートのソロを支え、微細な色彩をトリオで見事に表現した。レナエルツが信頼を寄せるメンバーだからこそ生まれた名録音が誕生した。