全国のタワーレコードのスタッフが、己の〈耳〉と〈直感〉だけを基準に世間で話題になる前のアーティストの作品をピックアップし、全店的なプッシュへと繋げる企画〈タワレコメン〉。これまで、相対性理論神聖かまってちゃんクリープハイプceroKANA-BOON、洋楽ではストライプスチャーチズといった現行シーンの最前線で活躍するアクトをいち早く発掘しており、現在は月1回のペースでオススメ・アイテムを紹介しています。Mikikiでは、そんなタワレコメンの選定会議に潜入し、作品の魅力を視聴コンテンツと共にお届け! 今回は9月度の洋楽編です!!

★タワレコメンに関する最新情報はこちら
★Mikikiの〈タワレコメン〉関連記事の一覧はこちら
★TOWER RECORDS ONLINEの〈タワレコメン〉特設ページはこちら

 


 

 

タワーレコードの本社にて行われるタワレコメンの会議。今回も音楽通のスタッフたちが〈これぞ!〉というオススメ作品を持ち寄り、タワレコメンの狭き門を通過するための熱いプレゼンを繰り広げました。何百タイトルという新譜のなかから候補作に挙がったのは……!?

トップバッターを務めたのは、なんと4店舗が候補に挙げたセイント・ペプシ改めスカイラー・スペンスのデビュー・アルバム『Prom King』。シングル曲“Can't You See”をはじめ、今様のシティー・ポップ感を漂わせたダンサブルな楽曲が満載で、プレゼンを担当したスタッフも「幅広い層におすすめできる。山下達郎好きもタキシード好きも気に入るはず」と太鼓判を押す一枚。2014年にセイント・ペプシ名義で発表し大ヒットしたシングル“Fiona Coyote”も収録しており、日本盤には同日にアルバム『Positive』をリリースしたtofubeatsのリミックス音源が追加されています!

 

早くもひとつ決定?という会議室の雰囲気をエッジーなエレクトロ・サウンドで刺激したのは、近年もヒットを量産しているXLが送り出す女性アーティスト、エンプレス・オブの初作『Me』。「XLモノは間違いない。〈ポストFKAツイッグス〉としてプッシュしたい」という推薦スタッフの言葉通り、美しいヴィジュアルと相まって、FKAやグライムスセイント・ヴィンセントといったアクトに通じるカリスマ性を感じます!

 

続いては、フランスはパリで活動する若きトラックメイカー/マルチ・アーティスト、ベスナインの初CD『The Road I Seek』。同国のアーティストで例えると、フェニックスタヒチ80好きにも推薦できる美メロとダフト・パンク的なトラックの組み合わせと言うとわかりやすいかも? その瑞々しいサウンドには「ストアプレイ(店頭放送)で映えそう」などさまざまな声が挙がりました。

 

お次は、ディスクロージャーらを擁するロンドンの新鋭レーベル・PMRから登場した、同地に住まうシンガー/プロデューサー、ドーニクのデビュー・アルバム『Dornik』。〈80年代生まれのマイケル・ジャクソン?〉という例えも飛び出した同作は、確かにMJからの多大な影響を感じさせつつ、オルタナティヴなR&Bとして成立している上質な一枚。リード・シングル“Drive”をはじめ、とにかく良曲揃い!

 

ヴィンテージな雰囲気を持つエモーショナルな歌声で会議室を包んだのは、奥さん経由でスティーヴィー・ワンダーにフックアップされたという〈30歳の新人アーティスト〉、アンドラ・デイのファースト・アルバム『Cheers To The Fall』。ビリー・ホリデイニーナ・シモン、そしてアデルの名前が挙がるヴォーカルの魅力はもちろん、ラファァエル・サディークエイドリアン・ガーヴィッツが助力した楽曲の完成度もピカイチ。スパイク・リーが監督したシングル曲“Forever Mine”のMVも必見です!

 

続いては、この日一番の飛び道具的サウンドでスタッフたちを驚かせたオマール・スレイマンの『Bahdeini Nami』。ビョークのリミックス盤にも参加した経歴を持つ彼は中東シリアの出身で、同国の民族舞踏であるダブケと先鋭的なダンス・ミュージックが交じり合ったオリエンタルなサウンドが武器。モンキータウンからリリースされた今回のアルバムには、主宰のモードセレクターに加え前作に続いての参加となるフォー・テット、さらにジャイルズ・ピーターソンがプロデューサーとして名を連ねており、完成度は言わずもがな!

 

推薦スタッフが「1975ストライプスのファンにも聴いてほしい」と語ったのは、マンチェな香りを放つバンド・サウンドが耳を惹くUK出身の5人組、スウィム・ディープの新作『Mothers』。1975のサポート・アクトとして来日経験も持つ彼らが約2年ぶりに放つアルバムは、シングル“One Great Song And I Could Change The World”(タイトルが長い!)など、サイケ感たっぷりのUKロックが楽しめる一枚。UK好きは聴き逃せない作品と言えそう。

 

終盤に入った会議に投下されたのは、逮捕劇やニッキー・ミナージュとの交際、ドレイクとのビーフなどなど話題に事欠かない気鋭のラッパー、ミーク・ミルによる全米1位獲得済みのニュー・アルバム『Dreams Worth More Than Money』。スタッフが「2015年のブラック・ミュージックの顔になる」と豪語するニッキ―とクリス・ブラウン参加曲“All Eyes On You”や、2パックモブ・ディープの名曲を引用したナンバーなど、強力な楽曲が揃った一枚です。

 

ラストは、デビュー前からウェブ界隈で注目を集め、USの若者を熱狂させているという女性アーティスト、ホールジーのファースト・アルバム『Badlands』。エリー・ゴールディングラナ・デル・レイロードなどにも通じる、情念の込められたヴォーカルと浮遊感溢れるエレクトロ・サウンドのマッチングに会議室の面々も納得の様子。推薦スタッフは「〈時代が変わる〉空気を感じさせるアクト」と自信を覗かせていました。

 

ということで、今回も多彩な作品が並んだタワレコメン会議。スタッフたちが多数決で選んだのは……!?