(C)2015 Genki Kawamura & Kenjiro Sano / Tinny Project

 

ちょうどいいってむずかしい

 NHK Eテレで2014年9月から2015年3月まで放送されたTVアニメ「ふうせんいぬティニー」がDVDになった。こげ茶色の小犬が家を飛び出すと、ピエロにふうせんを巻きつけられて雲の上に飛んでいってしまった! ふうせんの色はきいろ。風に飛ばされてたどり着いた“バルンおうこく”での仲間たちとの冒険のお話。

 原作は2013年に刊行された、絵本「ティニーふうせんいぬのものがたり」。『モテキ』や『バケモノの子』などの数々のヒット作を手掛けるプロデューサーの川村元気が物語を担当。そして、人気キャラクターを次々と世に送り出し、テレビCMのアートディレクターとしても活躍の幅広い佐野研二郎が絵とパッケージを担当しており、色鮮やかな雲の上の世界と困った顔のティニーがインパクトのあるポップな作品。

稲葉大樹 絵本つきDVD「ふうせんいぬティニー」vol.1 東宝(2015)

 ストーリーにはなんだかドキッとさせられる。いつもいばっているけどいつも不安そうなふうせんライオンや(ふうせんの色はあお)、あべこべのことばかり言ってケンカが絶えない双子のふうせんペンギン(ふうせんの色はオレンジ)、他にも実際周りにいそうな、もしくは自分のことのようなキャラクターが集まる。せっかちなふうせんきつねと、のんびりやなふうせんたぬきに向いてる仕事はウェイター?コックさん?そもそも、大好きなはずの家族のケンとのすれちがいがちょっとずつ大きくなったことで、ティニーは家を飛び出したところから始まる。日常にある誤解や勘違い、ちょっとした気持ちの変化、みんなそれぞれであることを、子どもならではの目線で、ティニーが「なんだかふしぎ」と首をかしげながら知っていく。5分とはいえ深い。

 ナレーションはベテラン声優・山寺宏一。オープニングの《ティニーのうた》は『アナと雪の女王』でアナの少女時代役を務めた諸星すみれ小林由美子福圓美里といった豪華な声優たちの共演もみどころ。さらに、アニメ版だけのオリジナル・エピソードが絵本になってDVDとパッケージされた豪華仕様!