近年のジャマイカにおけるルーツ・リヴァイヴァルの潮流のなかで、独自の存在感を発揮してきたジャー9。3年ぶりのニュー・アルバムは、シーンからの期待を反映するように初のインターナショナル・リリースとなった。もともと詩人/ダブ・ポエットとしての一面を持ち、ジャズからも多大な影響を受けてきた彼女の歌唱は相当ディープ。ナイヤビンギのリズムに乗ったヴォーカルに、エラ・フィッツジェラルドやニーナ・シモンが憑依するような瞬間もあり、シンガー/シングジェイとしての桁外れな歌力を全編で発揮している。また、世界的な音楽地図のなかでルーツ・レゲエならではの魅力を捉え、ジャズやアフロ・ポップやソウルとナチュラルに接続したそのサウンドからは、プロデューサーとしての力量もくっきりと。ルーツ・リヴァイヴァルのアイコン的作品というだけでなく、極めて濃密でアフロセントリックなソウル・ミュージックとしても幅広く聴かれるべき!