チーナ PULL SOPHORI FIELD(2016)

 ピアノにヴァイオリン、コントラバスなどを含む男女混成5人組とそこから派生したプロジェクトが、2作品を同時リリース。まず母体であるチーナのニュー・アルバム『PULL』ではクラシックにピアノ・ロック、ミニマル音楽やチェンバー・ポップなどが混然一体となった作風を推し進めており、鍵盤ハーモニカと鉄琴を活かしたトイ・ポップ“シューチャク駅”、クールなマス・ロック“Schwarzwald”など、表現の裾野をさらに拡げている。どんなサウンドにも決して埋もれない、椎名杏子の肝が据わった歌声の存在感も流石だ。

 

チーナフィルハーモニックオーケストラ PUSH SOPHORI FIELD(2016)

 そして、2015年に始まった15人編成のチーナフィルハーモニックオーケストラとしての初EP『PUSH』も登場。弦楽隊や管楽器、コーラス隊を加えた非常に贅沢なアレンジだが、そこで上品にまとめることはせず、オーケストラルな音の厚みとドラマティックな抑揚を得たバンドの、アグレッシヴな演奏や歪だが優れたポップネスが全開になっている。つくづく規格外のバンドだ!